本業はサイボウズでマーケターとして働きながら、新R25やベビーシッターサービス・キッズラインでも複業バズライターとして活躍するあつたゆかさん。インタビュー前編では、ライターとして複業を始めたきっかけやその想い、複業が本業に活きた経験について伺いました。

後編では、2019年11月からオープンした、パートナーを大切にしたい人同士のコミュニティ『スキ活サロン』を立ち上げた思いや、あつたさん自身の今後について語っていただきました。

※スキ活サロン:パートナーのことを大切にしたい人同士のコミュニティです。パートナーののろけや仲良しのコツの共有、プレゼントの相談などを気軽にできるコミュニティ

ビジネスで成功している人も夫婦の関係性に悩んでいる

―本業と複業だけに留まらず、『スキ活サロン』を今年オープンして、とんでもない盛り上がりを見せていますね。「今後どうなっちゃうんだろう?」とワクワクしてるのですが、パートナーシップに特化したコミュニティを立ち上げたきっかけをお伺いできますか?

きっかけは2つあります。1つは複業のライターの仕事で、起業家や有名人の取材を進める中で、意外と夫婦の関係性で悩んでいる方が多いんだなと気づいたことです。

特に箕輪厚介さんのインタビューは衝撃でしたね。ビジネスでめちゃくちゃ成功している人が、必ずしも家庭も円満というわけではないことにびっくりしました。

―なるほど…。

もう1つは、私自身、夫のことが大好きすぎてたくさんノロケツイートをするようになったら、少しずつバズるようになったことがきっかけです。

―少しどころじゃないですよね!何王国でしたっけ?

おおざっぱ王国です(笑)。私の中では、30とか50いいねくらいかなと思って、ツイートしてみたら13万いいねだったので本当にびっくりして。

私と夫の中では、全然普通のことで、ノウハウだとは全く思っていなかったのに、たくさんの人から「すごい勉強になりました」とか「参考にします」と言われて、「そんなに!?」みたいな。

発信して初めて、私達にとっての当たり前が、良好なパートナーシップを維持するためのTipsになる、ということに気づいたんです。そこから、「こうしたカップルのノウハウは、実は価値があるものなのに閉じられている」と実感しました。そういうTipsを皆がシェアする場があれば、ハッピーな夫婦がもっと増えるんじゃないかな、と。これが『スキ活サロン』の始まりです。

でもその段階ではまだニーズがあるか確信が持てなかったので、テストマーケ的にツイートしたんです。「こういうコミュニティがあると良いな」って。すると、200いいねくらいついて。

さらに、オフラインでも友人から「周りでパートナーの愚痴を聞く機会が多いから、自分は幸せなのに自分も愚痴を言わなきゃいけない雰囲気を感じる」ということを聞き、これはニーズがある、と思ってサロンをオープンしました。

パートナーを大切にする人を増やしていきたい

―『スキ活サロン』を通じて、どんなことを実現していきたいですか?

前編でもお話したとおり、「家庭の負を解決する」というのが私の実現したいことですが、そこからさらにブレイクダウンして「パートナーシップ」に注力したいなと思っています。

具体的に言うと、パートナーを大切にする人をもっともっと増やしていきたいです。パートナーを大事にする、というのは今まではずっと軽視されてきたことで。

―たしかにそうですね。「結婚は墓場だ」みたいな言葉もありますし。

そうなんです。よく、結婚のことをゴールインって言いますけど、スタートアウトじゃないですか。

今までは昭和の価値観というか、「24時間家庭を犠牲にして働く」とか「奥さんは寂しい思いをしているけど君は頑張っているね」といった、家庭を犠牲にする働き方を褒める風潮だったと思うんです。

それこそインタビュー記事でも、よく取り上げられるのは「仕事で成功している人」で、愛妻家の人はあまりスポットが当たっていなかった。でも、「パートナーとどれだけ良好な関係を築けるか」って人生においてかなり重要な要素だと思っていて、パートナーがいるから人生が安定したり、選択肢が広がったりする。

だからこれからはパートナーを大事にしている人にこそスポットを当てて、「パートナーを大事にするってこんなに素晴らしいんだ!」ということをもっと広めていきたいです。

―具体的にサロンで「こういうことをやりたい!」というのはありますか?

まずは、パートナーシップに関する大きめのカンファレンスを開催したい、と思っています。それこそ今までこういったカンファレンスが無かったっていうのが驚きじゃないですか。ビジネスに関するカンファレンスはたくさんあるのに。

―確かに。考えてみれば。

結婚前にパートナーと価値観のすりあわせができるサービス作りも始めています。

サービス作りは素人なのですが、奮闘中です(笑)日本って、婚活本やアプリはたくさんあるのに、結婚後にどうやって良好な関係を築いていくかについて焦点を当てたノウハウやサービスはほとんどないですよね。

結婚後に「価値観の違い」で別れてしまう夫婦も多いのですが、すごくもったいないと思っていて。

価値観の違いがあるのは当たり前だから、それをすりあわせて建設的に議論するサービスを作って、パートナーをずっと大事にして良い関係を築ける人たちを増やしたいです。パートナーとの関係で人生の幅ってめちゃめちゃ広がると思うので。

―めちゃめちゃ広がるし、上げるし、時には落ちることもありますよね。

そうそう。上げるし、落ちるし。人生をこれからマネジメントしていくにあたって、パートナーってめっちゃ大事だな、と

自身の今後について―キャリアは二の次、三の次

―あつたさん自身の今後についてもお伺いさせてください。今、本業では職場の負を解決しながら、複業でライターや『スキ活サロン』を通じて家庭の負を解消するという両輪を回しているかと思いますが、今後のキャリアについてはどうお考えでしょうか?

実は、私自身は「こういう社会にしたい」という想いが強すぎて、それが達成できるなら自分のキャリアはどうでも良い、というのが正直なところです(笑)

―二の次、三の次なんですね。

複業を始めた時も、社会人1年目からの複業だったので、白い目で見られるリスクはあったんです。でも、そういったリスクを鑑みても「理想の社会を創るために複業が必要」と思ってやったぐらいなので。あまり、自分のキャリアをどうデザインしたいみたいなのは無いんです。

―なるほど。

本業のサイボウズでは大きなプロジェクトに関われたり、組織人としての成長機会があるのが魅力的なので、サイボウズの仕事ももっと頑張っていきたい。なのでうまく可処分時間を増やして生産性を上げながら、両輪で活動していきたいです。

最近、朝活にハマっていて。朝の5時半から12時まで自宅で働いた後に、出社するというのをやってみたんです。そしたら朝の時間は通知もこないのですごく集中できて。サイボウズでは週3〜4出社といった形もとれるので、そういった制度を組み合わせて可処分時間を増やし、両輪での活動を続けたいです。

―これから複業を始めたい人にとっては「夫が大好き」ということも複業になる、というあつたさんのエピソードはすごく励まされるものだと思います。最後に、複業を始めたい人へアドバイスをぜひお願いします。

複業に興味があるけど、始められないという人の中には「自分のスキルは大したことない」と思い込んでいる人が多いと思います。実際のところ、私自身もそうで。「夫が好き」とか「おおざっぱ王国」とかにあんなに価値があるとは思ってもいませんでした。

けど、いざ発信してみたり、他人に提供してみると意外に喜ばれることってたくさんあるんですよね。なので、自分を卑下せず、とりあえずでも何か発信することは、それだけでも価値があることです。音楽が好きとか、テニスが好きとか。何でも良いので、みなさん自身の「好き」をぜひ発信してみてください!

―自分が当たり前だと思っていることが、実は誰かの役に立つかもしれないからこそ、まずは発信してみることが大事だということですね。ありがとうございました!

取材後記

「パートナーシップを大事にしている人にスポットを当てる」―昭和、平成の時代では見落とされていたパートナーシップに向き合い、新しい令和時代に新しいムーブメントを興そうとするあつたさんのインタビュー。本業、複業に加えた新しい取り組みを始めて、自分のビジョンにさらに一歩近づく姿はとても生き生きとされていました。

記事内で言及されていた、パートナーと値観のすりあわせができるサービスについても今後要チェックです!

 

 

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