学生時代から学業や就活の傍ら、ブロガーとして活躍し、新卒で幻冬舎に入社した竹田匡宏さん。
入社後に、メディア「あたらしい経済」の立ち上げながら、人気ブロガー「たっけ」として注目を浴び続け、さらにVoicyやVlogなど活躍の場を広げ続けているたっけさんに、本業と複業への向き合い方、ご自身で設定されているルールなどについてお話いただきました。
鬱々とした時期を経験したからこそ、発信する原動力になった
ー まず始めに、たっけさんの学生時代から今に至るまでの人生ストーリーや転換期についてお伺いできればと思います。
自分の中で学生時代の中での転換期はいろいろありますが、1つはブログをもう1回やり始めたことですね。もともと中高時代にデコログで日常を発信してミクシィ連携してやっていました。そして、本格的にインターンとか就活を重ねてきた後、ウェブメディアやインターネットを使って、もう1回何かしていきたいと強く思えたのです。それはブログを始めたのが大きかったと思っています。
ー 再びブログをやろうと思った直接的なきっかけは何だったんですか?
大学生活がうまくいかなくて、何をしたらよいのか全然見えてなかったんです。その状態で大学3年間を過ごし、就職活動となりました。就活にビビってしまい、俺なんか社会に必要とされないに決まっていると思って1回遅らせました。
ちょうど大学4年生の時に。早稲田の大隈塾という授業を受けました。その中で一番よかったのが堀紘一さんというドリームインキュベーターを作った人の話で、そこからインターンとかベンチャー企業での1週間、1か月のインターンとか受けてみようってなっていきました。
インターンなどを経て、自分に自信を取り戻し、就職活動もしました。そんな日常で、自分もブログを使ってTwitterやFacebookでシェアしたら、多くの人に見てもらえるだろうと思ってやりつづけました。
ー 最初のうちブログって悲しいくらい誰も読んでくれないじゃないですか。せっかく頑張って書いても最初のうちは時間もかかるし、その壁はどうやって乗り越えていったんですか?
当時、ブログをやっていて、僕自身が一番大事にしていたのはコンテンツ量を増やすことです。自分に美しい文章を書ける才能、SEOをあげる才能はあまりないというのは感じていました。朝の11時から夜の12時までずっと大学行かずにブログ書き続けていて、「SEOってなんなん、SNSってなんなん、どうやったらみんなに読んでもらえるんだろう」みたいなのを試行錯誤しながらずっと書いていました。
そういうのを通してブログをやっている友達やつながりが徐々にできていって。僕はインターネットを使ってブログを多くの人に知ってもらったっていうよりも、人に直接会って知っていってもらった方が大きいと感じていますね。
ー コンテンツ量を増やすことにコミットして大学にいかずにブロガーとしての活動にのめりこんでいった。何がモチベーションや原動力になりましたか?
早稲田に入ってそれで満足していて、何のために生きてるとか、何のために自分がどうしたいとか全然なくって。そういう時期に戻りたくないなっていうのは、すごく強いです。ブログって1日に1記事でも書けば、人生が前に進んでいる感じがするから、そこが一番モチベーションになってたのかなとは思います。
ー ブログを書いていたからこそ出会えたご縁とか、ブロガーをやっていたからこそという経験はどんなことがありますか?
ブログを毎日書いていると、「あ、こいつ毎日頑張って書いているな」と思ってもらうから、人間関係が続いている側面もあります。西村さん、隠居系男子の鳥井さんとか、ブログのつながりで出会って。鳥井さんとは今コミュニティを一緒にやっています。Wasei Salonっていうのですが、今後形を変えてやっていくので楽しみにしていてくださいね。
イケハヤさんもブロガーだから、僕が高知に行って、お話をしました。彼も仮想通貨好きなので、そういう議論をしたりもしました。あと、僕はブログで自分の好きなことを発信しているので、それを見て幻冬舎の中に僕自身が入ったので、就職もできたりもしましたね。
就職のスタンダードを覆す「たっけ流の就活術」
ー 幻冬舎にはどういう形で入社までに至ったんですか?
僕のブログの中で2016年から2017年にかけて、仮想通貨のがすごく盛り上がっていたので、僕のブログやTwitterでの情報発信が仮想通貨に向いていました。「どういう通貨がいいかとか、この通貨がどういう社会的意義があるのかとか、ブロックチェーンが来る未来、Dappsとは何か」とか、そういう言葉の定義とか、分かりにくいところをブログの中で書くようにしていました。
それで幻冬舎が今後ブロックチェーンとかビットコインの事業をやっていきたいなという話があって、何かメディアをやろうとなっていたようで。僕はちょうど当時の仮想通貨の取引所アフィリエイトメディアが溢れている状況をよく思っていませんでした。
ー 仮想通貨に関心が寄って発信していた中で、たまたま幻冬舎では仮想通貨対するメディアを立ち上げるぞみたいな話があって声が掛かったということなんですね。
まさにそうです。
ー このご縁って、ブログをやっていなかったら、ブログで仮想通貨のことを発信していなかったら絶対に起こっていなかったご縁ですよね。
そうです。
ー 確実に約束された未来ではなくても、自分の価値観に基づいて発信し続ければ自分の興味関心の合う企業とのご縁が生まれる可能性があるということですよね。
それは本当にありますね。
ー 受け身の応募型の就活でもなく、オファーボックスみたいなのに登録して、 発信型の就活みたいなものがあるとしたらまさにそのパターンということですね 。
そうですね。
ー その発信型の就活を推進していきたいと思いますか?
そうですね。僕自身やっぱり発信型の就活は、すごく大事かなと思っています。自分の興味・関心というものが1回の発信では伝わらなくても、ずっと続いていたらこの人ってここに関心があるんだと、読者の方は知ってくれる。それが相手に伝わるというのはすごく僕自身良いことかなと思っています。
就職活動って最終面接だと人の内面をしっかりと見ると思うんですけど、それまでは内面にいかずに能力や学歴で判断される現状があって、ブログやTwitterでもいいし発信することで自分を知ってもらうための材料が揃えられるというのはあるかなと思います。
ー 昔に比べて発信型の就活がしやすくなっていますが、その反面炎上が怖いとか、発信することがむしろ就活においてリスクだと考えている学生にはどんなアドバイスをしますか?
炎上がなぜ生まれているかというと、「一つの発信でどうにかしてやろう」という気持ちがあるからです。発信した先にある読者の人との今後の関係性を育んでいくところに僕は重きを置いて発信はした方がいいのかなと思っています。
あともう一つ発信する時に大事なのは、これを読むことによって誰かが傷つかないかというところ。賛否両論を産むことは、バズるコンテンツの要素として重要視されていますけど、バズることが全て良いことではないので、しっかりと考えた上で発信するのはすごく大事かなと思っていますね。
ブログはオワコンではない!毎日書き続けることで将来的な資産になる
ー 幻冬舎に入社をして、しばらくは「あたらしい経済」の立ち上げに奔走したと思うんですが、実際入社してみてどんな感じでしたか?
ブログと幻冬舎の部分だと、本業を一番大切にしたいと考えていました。メインの時間をあたらしい経済に投資しています。ブログで稼いでいきたいという思いはなくて、自分のルールとしては毎日書ければそれでいいやというところがあって。基本的に両立はしやすかったと思いますね。
ー 毎日更新というのがマイルールなんですね。ずっと1日も欠かさず更新していますよね。
そうですね。死ぬまで。毎日。それだけですね。
ー 大変じゃないですか?
いや、ブログに関しては毎日ハードルの高いものを確実に生み出すのは無理とあきらめている部分があって。だからこそ朝起きてお昼までの間に自分の考えをちゃんと発信しようということで毎日続けることにこだわっています。あと自分が一流とかプロになるためには、何か毎日続けなければいけないなと思っていて、4・5年前ぐらいに立ち上げたブログが毎日書き続けられているので、死ぬまでやると決めて自分との約束を守ろうと決めたんです。
ー 普通だったら1年目、メディアの立ち上げとかものすごく忙しいところにアサインされていく中で毎日欠かさずにブログを書き続けるのはハードルが高いと思うんですけど、就職してもなおブログを更新し続ける理由は?
1つは「自分に自信を持ち続けたい」というのがあって、ブログを続けています。忙しくても自分の中の時間が1日30分も1時間もないのは、おかしいなと思っていて、自分の時間というのを大切にしながら、毎日自分との約束を守ることは、僕自身が非常に大事しているところです。
ー 自分自身との約束を守り続ける一つのプラットフォームとして、ブログがあるということなんですね。
僕自身ブログに人生を助けられています。今、ブログがオワコンと言われていますよね。確かにマーケット視点、つまりお金を稼ぐという意味では、 YouTubeとか音声の流れがきているのは事実です。
でもテキストのメディアって将来アート作品のようになっていくと思っています。発信者にとって、動画だと全部が伝わりすぎちゃうところがあって、パーソナルな部分は動画で出しにくいと思うんですよね。
そういう時に自分が本当に伝えたい思いをどこで爆発させるかって、僕は最後にたどり着くのは、テキストメディアかなと思っています。テキストメディアの中に一番人間の感情というのが組み込まれていくんじゃないかなと思っています。だから本当に発信者の内面を知りたい読者はブログメディアを欠かさず読むようになると思います。
ー ブログを毎日書き続けるというスキルが結果的に本業にもつながっていると感じることはありますか?
それで言うと、スタンスの部分でつながっていると思っています。ブログをやっていてその人が考えていることを知って、その人が喜ぶような発信の仕方で伝えたいなという思いが強くて、そういうのブログを通して行ってきました。
だから取材でも、どんな人が来てもフランクに話ができる。すごい人だから恐縮しすぎるとかなくて、その人が聞かれたいとか伝えたいことを聞いて発信するというスタンスは変わりません。
ブログの中で、僕が一番焦点を当てたいのは、インターネットに接続してない人たちのことをもっとちゃんと知ってもらいたい。その人たちに届けないと日本は変わっていかないと思います。その人たちの情報をしっかりと拾いたいし、その人たちにも伝えたいです。
それこそホームレスの方やトイレ掃除をしている人にも取材してきました。今も、毎日ジムに行っているのですが、ジムの1階とか2階とかで毎日掃除してくれているおばちゃんがいて、そういう人たち含めて、様々な人の仕事で世の中がちゃんと成り立っている、動いているということをもっと伝えたい。
そういう人たちに何かしら自分ができることがあればと、今までは情報を伝えるとか発信することでしか解決していないんですけど、経営者としても解決できていけたらいいなとは思っています。
ー ブログとはまた別の軸で、Voicyを始められたりだとか他の発信媒体にもチャレンジいますが、そのきっかけはどこにあったんですか?
音声メディアに関しては、僕自身音声メディアが好きだったんですよね。中高の時とかもよく夜中に電話を親友とかとずっとしたりとか、彼女とかもずっと電話したりしてて。顔が見えなくって声だけ聴くのってすごいいいよなって感じてて。そういう音の可能性に対して僕自身はすごくいいなあと思っていました。
ちょうどその時(2017年秋)に、Voicyっていうのを知って、これは面白いなって思って、誰でもパーソナリティになれるっていうので、Voicyを開設させてもらい音声メディアをそこからずっと続けてきました。音声のメリットってすごく感じていて、だから発信の形態として音声はありだよねと始めたっていうのはあったと思います。
ー 最近だと音声以外のメディア、それこそVlogとか今チャレンジされているじゃないですか。それはどういう意味があって?
Vlogも面白そうだから、やってみようと思って。でも時間はそこに割きすぎると違うから30分で編集できるように。30分越えたら止めてます。
Tiktokとか、新規参入の人でもちゃんと再生回数を増やせるアルゴリズムにしてるところがすごかったり、発見は結構あったりします。まずはやってみるのは大切です。それが続くか続かないかでその人が本当にそれを好きかどうか分かるので、面白そうだなって思ったらやってみるっていうところは大切にしていますよ。
ー 面白そうだと思ったらとりあえず実験してみる、やってみる。そこでPDCAまわして自分なりの果実を得てみるみたいな、そういう志向は強いですよね。
そこはたぶん強くて、良くも悪くも、僕の場合はPDCAじゃなくてDから始まるんですよね。DCPAです。Doのところから始めてて。これは好きそう、続かない、とかだったらじゃあ続くかなっていうのを好きだったら考えるし好きじゃなかったら止める。
まず行動の部分から始めることを大事にしつつも、なんでもすればいいっていうものじゃなくて。
最初いきなり100万かかるものをスタートすることはなかなかできないので、お金や時間をかけないというところと誰かが傷つかない、誰が見ても楽しくなれるようなものしかDoにしたくないなっていうのがありますね。
ー 少し脱線しますが、「誰も傷つけないメディアにしたい」というのは結構コアな価値観だと思うのですが、何か実体験はあるんですか?
多くの今をときめくブロガーが僕と同じ5年前くらいにブログを始めてました。
世の中で、Twitterやブログで読者に影響を与えるコンテンツは極論で尖っているものが多かった。当時から僕自身はその発信スタイルは違うだろと感じていて、違和感がすごくあったのです。
ー 炎上商法みたいな。
そうですね。僕はあんまり数字とか取れなくてもいいから、自分の好きな発信スタイルでやり続けたいというのがあって。僕自身もっともっと自分が努力することによって多くの人が幸せになるなら、それが一番。だから勉強もするし、運動もするし。ちょっとでもいいから自分ができる範囲を増やしていくことを大事にしています。
スタンスとして大事にしたいのは、人が落ち込んだり苦しいときに自分自身がちゃんとその人のことを助けてあげたいのです。パワーを持っていても心がそこになければ、そのパワーは生かせないし、心がそこにあってもパワー持ってなかったらちゃんとその人のためになれない。どっちもつけるためには着実にやっていくしかないなって思っています。
でも一生大事にしていきたいのは、やっぱり人を傷つけたくないのでそこは大きい。極論言う必要は無くて、だからこそ時間がかかるかもしれないですけど、できることを徐々に伸ばしていきたいなって気持ちは僕の中で非常に強くあります。
副業をやるか考える前にまずやってみる。本業の価値が高まる副業が理想
ー 最後に、社会人として本業を大切にしながら副業をチャレンジしようとしている人に対して、どんなアドバイスを送りますか?
今、自分が仕事に1週間でどれくらい時間がかかっているかを本業で知るのはすごく大事だと思っています。僕も8時間勤務で、10時〜18時で終わることってあんまりないです。
だから、多くの人に一度やってもらいたいのは、「映画見る。奥さんと過ごす、子供と過ごす」など本業を1回抜いて、自分が1週間の中でどんな時間の使い方をしているかを自分で把握するのはすごく大事です。
さらにそのタイムマネジメントを1日に落とし込んで、自分はこういう時間の使い方しているのを知りましょう。
僕は、朝に「今日はどれを何時間くらいするかを決めます」
皆さんも、同じようにすれば、いざ副業を始めるってなったときにどれだけの時間を副業に費やせるか測れます。
そして、あとは自らが最初から「これ好きそう」って副業を探すのではなくて、決める前に1回やってみて、やり続けられればそれは副業しつづけられるのではないかなと思っています。頭の中で考える時間は、副業においてはもったいないと思います。
ー 考えてる時間あったら、まずはいろいろやってみようよと。
そうですね。やってみることは大事で、あとは好きなものを仕事にとか、好きなことを見つけることって風潮は間違っていますね。
好きなことって勝手に見つかると思うので、やり続けてみてこれ好きだったんだってあとから気づくと思うんですよね。今の自分だと本業に活きるような副業をちゃんと見つけてどっちもバランスよく、本業がさらに価値が高まるような副業であればより良いんじゃないかなと思っています。
例えば僕だったらテクノロジーの分野をすごく深めているので、自分としては今後エンジニアとしてやっていきたいなっていうのはすごくあって。そこの部分でエンジニアリングの勉強ってよりブロックチェーンを理解する上ではすごく大事なところですね。
ー 最近アプリ作ったりしていますもんね。
僕が大事にしているのは、本業に活きる副業であればいいなと思っています。本業との掛け算でもっともっと自らが大きくなっていけるようなものです。
本業だと会社を経営していないので自分自身が完全にオーナーシップをもってやっていけるかって言われると難しいです。時間もそうですし、プロジェクトのやりたいことも自分以外の人たちがやりたいことの積み重ねの中で仕事があるので。
でも副業ってなると自分がオーナーシップを持って自分がどれだけの時間使えるかというのがあるので、そこの部分で計算してやっていくのが僕は大事なんじゃないかなと思っていますね。
ー これは伝えておきたいなっていうのがもしあれば。
自分の中で何か習慣を作ることはすごく大事かなと思っていて。どうやったらそれが続けられるか「いつ、どこで、どれくらいやるか」っていうのを3つセットを規格として日常に規格化してしまうところは大事かなと思っています。
例えば僕の場合。ブログだったら1日40分朝と昼の間に書く。ランニングであれば、、朝起きてすぐジムに行って、20分筋トレして、20分走るようにしています。
自分に負荷のないようなプロセスで作りこんで規格化してしまう。習慣を作るときは何かをやってみる、それをやってみて合いそうだったら、どうしたら自分ができるのかというのをやったらすごくいいんじゃないかなと思っています。