2017年、もはやバズワードとなっている「働き方改革」。フリーランスや複業家など「信頼を持つ個人」の台頭に合わせて、企業の雇用形態も「週休3日」や「リモートワーク」など多様化してきています。

しかし、「複業解禁」は個人にとって必ずしも良い話ではありません。逆に言えば、個人が社外で仕事できることが前提となると、正社員としての給与増加が保証されない世の中になる可能性もある。「急につきはなされた」と感じる個人もいるかもしれません。

そんななか、昨今の働き方改革の波よりもずっと前から「“専業”禁止」を人材理念としてきたのが、代官山にオフィスを構えるエンファクトリー。他にも社員が転職や独立した後も会社とゆるやかにつながり続ける「フェロー制度」など、無形資産を起点としたユニークな人事設計をする会社です。

そんなエンファクトリーは2017年、フリーランスや複業家のコミュニティの「信頼」を可視化するプラットフォーム「Teamlancer」をリリース。企業はパートナーを募集をすることができ、複業家やフリーランスは仕事を探すことができます。

今回のHARESは人生100年時代、フリーランスが増えるなかでの人材の適材適所の姿を取材しました。

ウチは“専業”禁止。「働き方改革」は、最近必要になったことではない

ーエンファクトリーさんはもともと「専業禁止」を会社の人材理念として掲げ、社員の複業を推進していますよね。いま(2017年)のタイミングで、フリーランスや複業家向けのサービスをリリースしたのはどうしてでしょう?

そもそも企業の「働き方改革」や個人の「稼ぐ力」は、最近になって必要になったことではないんです。エンファクトリーが「専業禁止」を打ち出したのは、All Aboutから分社化してすぐの2011年。もっと言えば20年以上も前から、今起きていることは「想定内の未来」ですよね。

昭和の時代は、会社が失敗しても市場全体が成長しているから、個人の給料は上がるんです。極端な話、会社にぶら下がっていても「キャリアパスを歩んでいる」ように感じてしまう。その成れの果てが「机に向かってハンコを押してるだけの管理職のおじさん」です。その代わり、「自分ごと意識の希薄化」が進むと、「稼ぐ力」を含めた個人の総合的な「生きる力」はどんどんなくなっていく。

企業が個人の成長を加速化させるような、多様なミッションを用意できれば良いとは思います。でも実際は、ヒエラルキーの組織構造で仕事は細かに分業されていて、必ずしもその人の成長や課題感に合った仕事を提供することはできないんです。

また、昭和のままの働き方を続けると、個人はどうしても生涯で得られる収入と支出のバランスが合わなくなる。高度医療によって人生は70年から100年になり、年金の制度疲労を現役世代が増税で負担することになる。

一方で情報革命とともに、挑戦へのハードルは下がっていく。インターネットがあるだけで、なんでもできる時代になっています。そう考えれば、「信頼」や「スキル」を持つ個人になることはマストです。

ー複業を推進することにより、社外に人材が流出することはないのでしょうか?

確かに、複業を通じて転職や独立をする社員は多いですが、エンファクトリーは「フェロー制度」として卒業した社員と、対等な関係でビジネスのやりとりを続けます。

「会社を辞めたら終わり」ではなく、業務委託や共同事業によってビジネスパートナーとしてゆるやかに相利共生できる関係を持つ。すると、本来であれば社員が辞めたら消えてしまっていたノウハウが、関係資産として部分的に会社に残っていきます。なので、「個人の稼ぐ力」を後押しすることは会社としてもメリットがあるんです。

ただ、「専業禁止」の制度で社員の個人としての成長・フリーランス化を後押し、また事業としてフリーランスや専門家を支援するなかで当たった壁が、「信頼度」が他人から見えにくいこと。

例えば、企業の仕事が細分化されればされるほど「その人に頼む意味」が薄れていき、結果的に「同じレベルのスキルを持っている人たち」のなかで“安い人”に頼むことになる。フリーランスは新しい仕事や環境を得ることが難しいんです。最近では、あえて会社に出戻ったり、異業種交流会などのイベントに顔をだすフリーランスが増えています。

また、そもそもニーズを明快に仕様化できる能力そのものが発注側にない場合、それも含めたコミュニケーションや最後には「信頼」に行きつくので知っている人同士の受発注の方が、知らない人に頼むよりも安心できる。フリーランスの仕事は個人では広がりづらいんです。だから、フリーランスや関係するチーム・コミュニティを可視化するために、2017年5月に「Teamlancer」をリリースしました。

企業がフリーランスを活用するには「ざっくり」が必要

ーTeamlancerのどのような機能で、距離を縮めたり信頼度を可視化しているのでしょう?

Teamlancerは、実名制でフリーランスがデータベース化されています。パートナー・仲間募集を目的とするだけでなく、「どのような職種にどれくらい登録しているのか?」を検索することができるようになっていて、そこに仕事の相談が投げられます。たとえば、ZAKKURI(後述)で職種に「ライター・編集者」をチェックすると、133人いることがわかります(2017年12月時点)。

彼らのプロフィールやポートフォリオを見れば(まだまだ登録されてる方が少数ですが、、)、過去にどのような仕事をしてきたのかわかります。また、Facebookと連動しているので、ソーシャル上のつながりも可視化できます。

ーソーシャル上の信頼度に、実績が追加されているんですね。

オフィスにいると1日に1回は、「ざっくりどれくらいかかる?」ってセリフを自分が言ったり、他の社員から聞いたりしますよね。

今回新たに実装した「ZAKKURI(ザックリ)」は、Teamlancer上で該当する人たちに「見積もり依頼」や「チーム募集」を一括送信できる機能。入力項目は、 ざっくりとした「内容」と、相談したい「職種」のみ。 フリーランスや複業家へ「こんなことしませんか?」と気軽に聞くことができます。

初対面の相手に、簡単に仕事の受発注はできないと思うので「Word Pressでメディア立ち上げたい。運営するなら費用はどれくらいですか?」と最初のコミュニケーションの部分をつくり、スキルだけでなく受け応えなどから、相性や考えをお互い確認していく場にしていければと考えてます。

ー今後の「Teamlancer」の展望を教えていただいてもよろしいでしょうか?

企業には「社外秘」の事業もあるとは思いますが、なかには社外に開示できるプロジェクトもあります。もちろん特別な新規事業などオープンにできないものもありますが、人材を獲得するのが困難になっていくことを考えると、社外の人材を含めた人的資産の調達ができた方がいいはず。実はエンファクトリーも3つのチームを登録していて、社外へプロジェクトを開示しています。

私たちはプロジェクトをオープンにして、スキルだけでなく、相性や志への共感も踏まえたチームメンバー・フリーランスを募集していく。エンファクトリーの社員も登録してるので社員を社外へ送り、人材を社内に留めない形を模索しています。実現できれば、世の中全体の人的資産が適材適所できる。

社会のなかでそういう流れをつくるためにも、自社で「複業家やフリーランスのチーム」を有効活用する事例をつくるのが次の使命。まずはエンファクトリーの人的資産をオープンにし、企業と個人の間で知見の交換をしていきたいと思っています。

キックオフ代負担キャンペーン、実施中

機能アップデートを記念し「キックオフ代負担キャンペーン」を開催中。チーム登録を行ったチームの中から抽選で30チームに、キックオフミーティングで利用できるお食事券をプレゼントいたします。

【キャンペーン期間】2017年11月9日(水)~2017年12月31日(日)

【ャンペーン対象者】 『Teamlancer』に登録し、チーム登録を行った方

【応募サイトURL】 https://teamlancer.jp/

※チーム登録は、2名以上で登録してください

※写真含め、チーム情報は漏れなく入力をお願いします

 

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