「二兎を追って二兎を得る生き方」を応援するライフスタイルメディアHARES.JPのオススメ本を紹介するコーナーとして、『複業家の本棚』をはじめてみることにしました。
記念すべき第一回は、『クリエイティブ思考の邪魔リスト』(朝日新聞出版)です。
本書はNewsPicksで大人気となった連載「『クリエイティブ思考』の邪魔16リスト」に大幅に加筆修正が加えられたものです。
ぼく自身、本連載については熱心な読者でコメントもさせて頂いていたのですが、ご縁あって著者の瀬戸和信さんより献本を頂きました。改めて隅々まで拝読しましたが、「クリエイティブ思考」を必要とするあらゆる人にとって、必読の書だなと感じました。
ちなみに、著者の瀬戸さんはマイクロソフトで「2 in 1 (Surface)」、日本エイサーで「ネットブック」という新しい概念を日本に定着させ、ヒットに導いた方で、現在はFitbitの日本法人でウェアラブルデバイスの普及に尽力されている方です。
まさしく、複業として記事を連載されたり、書籍を出版されている「スーパー複業家」です。
「クリエイティブ思考」とは何か?
「クリエイティブ思考」という言葉に対しては、恐らくほとんどの方がポジティブなイメージを持っていることでしょう。「あの人、クリエイティブ思考に長けているよね」という表現は多くのケースにおいて「褒め言葉」です。
(そもそも「クリエイティブ」という言葉自体がそうかもしれません)
「クリエイティブ」というと、アーティストや広告プランナーなど、いわゆるクリエイターを生業としている人のためのものだと思われがちですが、筆者の瀬戸さん自身が、
この本は、日常のビジネスの現場で「もっと成果を出したい」と思っている経営者、営業、人事、企画、開発、総務、経理など、すべての職種の人に向けて書いた、ビジネスで何か新しいことを「考える」本です。と語られている通り、少なくとも本書においては「クリエイティブ思考」とは決してクリエイターのためだけのものではありません。
では改めて、「クリエイティブ思考」とは一体何なのでしょうか?
瀬戸さんは「クリエイティブ思考」について以下の通り定義しています。
問題を定義(発見)し、ぐるぐると遠回りしながら解決のためのアイデアをひたすら考え、それを実行に移し、フィードバックを得て、またひたすら考える。この「考える工程」を「クリエイティブ思考」と言います。つまり簡単に言えば、「何らかの価値あるアイデアを生み出すためにひたすらに考えること」を指すわけですね。
クリエイターにかかわらず、「考える」ことが伴う仕事に就いている人すべてにとって必要な力です。
(もっとも、考えることを必要としない仕事なんて存在しないはずですが)
「邪魔もの」をリスト化するという引き算の発想
NewsPicksで特集を一目見たときに感じたのですが、「邪魔リスト」という発想自体がそもそもクリエイティブですよね。通常であれば、「クリエイティブ思考」のためには、何が必要なのか?」という「足し算の発想」で考えてしまうもの。
そこを筆者はあえて「クリエイティブ思考を邪魔するものをリスト化」することによって、一つ一つ取り除いていけば、自然とクリエイティブ思考が発揮できるようになりますよ、という「引き算の発想」で、読者をクリエイティブ思考の世界へと導いてくれているわけです。
参考までに、「邪魔リスト」は次の15個です。
- 制約を侮ってはいけません
- 名刺は名前以外を見てはいけません
- 慎重に計画を練ってはいけません
- 「考えても仕方がないこと」を考えてはいけません
- 周囲からの影響を軽く見てはいけません
- 「知ったか病」に冒されてはいけません
- 自分の「型」に他人をはめてはいけません
- 「男だからハイヒールを履かない」と言っていてはいけません
- 弱みを克服してはいけません
- グローバル時代に異文化を学んではいけません
- 違和感から逃げてはいけません
- 「自己ブランディング」に罪悪感を持ってはいけません
- 惰性リズムを積み重ねてはいけません
- 「運動」を仕事と切り離してはいけません
- 徹夜した自分に酔ってはいけません
「名刺は名前以外を見てはいけません」
「「男だからハイヒールを履かない」と言っていてはいけません」
など、本文を読まないと何のことやら?と感じられる項目もありますが、
「制約を侮ってはいけません」
「慎重に計画を練ってはいけません」
「弱みを克服してはいけません」
などなど、思わず「ギクッ」としてしまう項目がズラッと並んでいますよね。
ついつい、僕らは「制約」を悪と捉えがちだったり、計画を慎重に練るべきだと考えがちだったり、弱みは克服すべきだと思い込みがちだったりしますが、それらはすべて「クリエイティブ思考」を邪魔するものなのです。
それは具体的にどういうことなのか?2つほどご紹介しましょう。
計画は5割で実行に移せ!
「慎重に計画を練ってはいけません」とは、具体的にどういう意味なのでしょうか。
「今の時代、評論家になるよりは、今ある考えをもとにとにかく行動に移すことの方が何倍も得るものがあります」と書かれている通り、「実行」が何よりも重要です。
「事業計画は8割で実行に移せ」とは、ビジネスの現場でよく聞くセリフですが、著者の瀬戸さんは先輩から教わったのは「5割で実行に移せ!」だったそう。
「インターネット以前」の時代においては、一つの事業を実行に移すだけで膨大なコストがかかりましたし、マーケットの変化スピードも今よりは緩やかだったため、「拙速」よりも「巧遅」の方が投資対効果を期待することができました。
しかし、インターネットが普及し、かつマーケットの変化スピードが急速になった今、もたもた計画ばかり練っていては競合他社に先を越されてしまい、「機会損失」がどんどん大きくなってしまうのです。
つまり、「巧遅」よりも「拙速」でも良いからとにかく早く実行に移す方が得られる果実が大きい、ということ。
あれこれ「思索」している暇があれば、さっさと「試作」して世に出してしまった方が良い結果を生む可能性が高い、ということですね。思い立ったら即行動!がクリエイティブ思考への近道です。
「弱みの克服」に割いている時間はない。
ついつい僕らは「どうやったら弱みを克服できるか?」ということばかり考えてしまいがちですが、それはクリエイティブ思考から自らを遠ざける考え方だと、筆者の瀬戸さんは喝破します。ギャラップ社の調査によれば、従業員の強みにフォーカスを当てている組織では、73%もの人が仕事に思い入れを持って働いているのに対して、強みにフォーカスを当てていない組織では、わずか9%しかそうでない組織ではわずか9%の人しか仕事に思い入れを持てていないそうです。
また、同社の別の調査では、日本人で「自分の強みを毎日使っているか?」という質問に対して、「Yes」と回答したのはたったの15%しかいないそうです。これは先進国最低レベル。アメリカやカナダ、インドは30%を超えています。
「強みを発揮しよう」と言われても、そもそも「自分の強み」について自覚できていないよ、という方も多いと思いますが、強みを発見するための具体的な方法についても紹介されています。
一つは、『さあ、才能に目覚めよう』という書籍に収録されている「ストレングス・ファインダー」という自己分析ツール。以前、僕のブログでもご紹介しましたが、これは本当にオススメです。
ちなみに僕の強みは「収集心、未来志向、競争性、最上志向、戦略性」の5つでした。「収集心」w
「本を買うのはめんどくさいし高いから嫌」という方は、日本版・無料版ストレングス・ファインダーとも言える「グッドポイント診断」もオススメです。無料会員登録が必要ですが、無料で受けられます。
ただ、こうした「診断系サービス」では今ひとつ説得力を感じないんだよなーという方も少なくないはず。
そんな方に著者がオススメするのが「本業以外の活動を追求すること」だそうです。まさしく「複業」ですね。
僕も「自分の強みは?」と質問されて即答できずに悩んでいました。しかし、あるとき、それを見つける方法に気づかされました。その方法とは、本業以外の活動を追求することです。本業以外の活動は、間違いなく職場でクリエイティブな考え方を発揮するきっかけになります。具体的に、瀬戸さんがどんな「複業」をされていたかというと、瀬戸さんの生まれ故郷、石川県を東京から面白くするコミュニティ「DOKYO FESTIVAL」だそうです。
「DOKYO FESTIVAL」での様々な観点から石川県の魅力を伝える活動を通じて、瀬戸さんは「僕はまだ知られていない新しいことを伝えるのが得意だ」ということを知ることになり、それが、「本業である、新しいものを世の中に伝える仕事につながっている」のだそう。
僕自身、ブログ「NOW OR NEVER」を立ち上げてブロガーとして活動を始めたことで、世の中に知られていないけど価値あるものを発見・収集し、発信することが自分の強みだと知り、今のキャリアにつながっているので、こうした感覚はとてもよくわかります。
自分の強みを発見し、伸ばすためにあえて「本業以外の活動を追求してみる」というのは僕もオススメの方法です。
”Small steps, big impact”
「クリエイティブ思考の邪魔リスト」のうちから2つ抜粋してご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
「クリエイティブ思考」は誰もが羨むマジックワードですが、それを得るための方法は案外シンプル。
つまり、固定観念から自分を解放する、ということなんですよね。
一気に15個すべての邪魔をリセットするのが難しければ、まずは一つで良いからチャレンジしてみる。本書をパラパラめくって、一番自分にフィットしそうな項目からチャレンジしてみるのも良いでしょう。
本書の結びに”Small steps, big impact”という著者の瀬戸さんが「好きな言葉」として紹介されている言葉がありますが、日本語で言えば「小さな一歩が、のちに大きな影響を及ぼす」という意味だそう。
「1人の人間にとっては小さな一歩だが,人類にとっては大きな飛躍だ。」とは、人類で初めて月面着陸に成功したニール・アームストロングの言葉ですが、明日から、いえ、今日から始められる「Small Steps」が後のイノベーションの種となり、あなたの未来だけでなく、世の中を大きく飛躍させるかもしれません。
どんなに些細なことでも良いので、まずは今いるところから一歩、踏み出してみませんか?本書はあなたが小さな一歩を踏み出すことを後押ししてくれること間違いなしです。
「複業」に興味はあるけれど…というあなたへ。
HARES.JPでは、「副業・複業に興味あるけれど、何から始めて良いか分からない」「今やっている「副業・複業」をもっと軌道に乗せたい!」という方向けにオンラインコミュニティ「HARES College」を運営しています。
オンラインのみならず、定期的にオフラインイベントも開催しており、『クリエイティブ思考の邪魔リスト』の著者・瀬戸和信さんをお招きした読書会イベントも近日開催予定です。 今なら先着10名様限定(残り2名!)で無料メンタリングも実施しているので、ご興味ある方はのぞいてみて下さいね。 詳細など気になる方はFacebookメッセージやLINEからお気軽にお問い合わせ下さい。