2020年5月16日、パラレルプレナージャパン公式イベント「パラレルキャリアを活かした大企業イントレプレナー人材の話を聞いてみよう!」がZOOMを利用し、オンラインで開催されました。

 

パラレルプレナーとは、パラレルキャリア(複業)で得たものを活かして、イントレプレナー(社内起業家)として本業でも新しいことにチャレンジしている人のことです。

パラレルプレナー3名によるLT(ライトニングトーク)、パネルディスカッション、交流会と内容が盛りだくさんであった本イベントのレポートをお届けします。

 

パラレルプレナーのLT

まずはパラレルプレナーとして活躍されている3名のライトニングトークからはじまりました。自ら行動し、社内イノベーションを巻き起こしてい実行者であるみなさんの経験談から、メリットや成功のポイントなどをお聞きします。

越境学習で、シナジーを生み出す

大企業で働きながら、領域をまたぎ、連携し、学習やスキルの取得につなげている磯村さん。ご自身がパラレルキャリアのメリットをどう捉え、それによってどんな変化がもたらされたのか。「大企業社員がパラレルキャリアをやってみたら、やたら自由に働くようになった」と題してお話いただきました。

 

磯村幸太  プロフィール
AGC社内コンサル兼経営企画 / フリーランス / NPO二枚目の名刺 / 慶應大学大学院SDM研究科研究員 / 愛媛県八幡浜市コミュニティマネージャー等。
組織開発、オープンイノベーション、社会課題解決等にファシリテーターとして取組む傍ら、パラレルキャリアの学習理論である越境学習を研究している。

現在、「ビジネス」「ソーシャル」「ガバメント」「アカデミア」という4つの領域を越境して活躍する磯村さんは、「みんなが毎日わくわく働く社会への変化を促す」ことを活動の軸に置いています。

 

大企業で会社員でありながら、いまの働き方を実現できたのは、越境学習がキーワードだったそうです。

越境学習とは、普段、自分がいるコミュニティとは別のコミュニティの経験から学ぶことで、磯村さんの研究分野になっています。

 

越境学習で学べることには以下のふたつがあり、それぞれが「スキルの向上」と「会社へのスタンス」に影響しています。

①知識に関する学び

別のコミュニティで知ったことを持ち帰って活かすことで、活動間のシナジーにつながる。

シナジーにより、それぞれで得られる「知識・人脈・機会・実績」が有機的な関係を連帯、それぞれの活動に大幅な時間をかけなくても効率よくスキルが向上する。

②自身に関する学び

環境が変わることで自分自身についてより自覚的になり、会社へのスタンスも変化。いままでは会社へ頼りっきりだったものが、相互的に頼りにし合う関係へ。その結果、会社へ自ら様々な提案ができるように。

 

大企業に所属する立場であっても、越境活動を意識し、スキルも仕事の幅も広げられた磯村さんの体験に基づいた、パラレルキャリアの大きなメリットが見えました。

 

飲み会ばかりの日々から、新規事業が生まれる働き方に

つづいて金子さんのLTです。金子さんはパラレルプレナーとなった自分にどんな機会が訪れたのか、「大企業の会社員がパラレルキャリアをする理由」と題し、実際の事業をもとにご紹介してくださいました。

 

金子雄亮 プロフィール
2009年トヨタ自動車入社。工場の生産管理、海外拠点の人材育成企画、商用車カンパニーやモノづくり開発センターの立上げ、若手新事業企画などに従事。
社外では、ミクサプ・起業、アイデアプラス・複業COO、タイガーモブ・エバンジェリストとしても活動し、会社員発のパラレルキャリアに挑戦中。

 

トヨタ自動車で人事職に就きながら、ここ2年は起業や複業に精力的に挑戦している金子さんは、意外にもそれ以前は週末は運動や飲み会にばかり時間を使っていたと言います。

 

そんな金子さんが「パラレルキャリアを実践して自分に起きたこと」は3つありました。

 

①固定概念が柔らかくなる

本業とは異質のものと触れ合うことで自分を相対的に外から見れるようになる。一社だけで働いていては到底でないようなアウトプットがでるといった手ごたえも。

 

②企画業務に強くなる

会社員だけだと担当範囲とその周辺しか視野が広がらない。複業で、ほかの業界からという視点が加わり、全体を俯瞰して見れるようになる。その結果、目的から考えアクションに落とし込む企画力が強化。

 

③自分を120%燃やしきれる

会社のビジョンと自分の人生のビジョンの完全合致は難しく、希望の職種に就けないことも。その環境で自分を100%だすのは困難。しかし、パラレルキャリアだと「一粒で何度も美味しい」自分の持ち味の出し方ができる。また、社会に対して自分を活かしきれている感覚がある。

 

こういったポジティブな変化の先に、パラレルイントレプレナーとして、

 

①業務内からの新規事業
複業での経験があったからこそ、所属部署の枠を超えた事業に関われた。

②業務外からの新規事業
有志活動が会社の業務になった。

③複業先でも新規事業
本業の会社メンバーをパラレル先の企業に出向する形で一緒に新規事業をやった。

新たな仕事が開拓されていったそうです。

 

知識・人脈・経験の循環が起きる

LTの最後に、及部さんから、「パラレルキャリアで変わった3つのこと/パラレルキャリアを活かして実現したこと」についてお話いただきました。 

 

及部一堯 プロフィール
NTT西日本/関西大企業有志団体ネットワーク”ICOLA”共同代表/6社の顧問・アドバイザー/総合エンターテイナー
総合エンターテイナーの活動からレクリエーション介護士第1号となり、NTT西日本にて介護レクサービスを創出。
現在はプライベートでの経験を活かし、社内で新規事業創出及び事業創出支援活動に励んでいる。

 

まず、「パラレルキャリアで変わったこと」として3つご紹介いただきました。

 

 

①自分が変わる

行動を起こすことで、人脈が拡がり、素晴らしい人と触れ合うことでモチベーションが上がり、さらに意欲的に行動する。すると、知識とスキルが蓄積し、それはお金と時間の創出につながる。その結果、「”好きな時”に”好きな人”と”好きなこと”が”好きなだけできる”」へと変化していった。

 

②世間から見た自分が変わる

世間からポジティブな印象を受けることで、困ったときに相談してもらえる存在になる。それが繰り返されて、別の人にも紹介されるようになる。その先に、人脈・スキル・知識・お金が得られ、またさらに世間から見られる自分の印象もアップデートされる。

 

 

③社内から見える自分が変わる

人脈や知識、志がありそうと思われることで、新規事業や社内改革の機会をもらえる。その時、社内からのサポートに加え、社外の経験(自分だけがもつ、いままでのパラレルキャリアからくるもの)を活かし、実現する。その成果を受けて、さらに様々な依頼が自分に集まるようになる。

 

「パラレルキャリアを実現している」という事実によって、自分に対してポジティブな印象を周りからもらい、それが実際の自分にプラスに作用することが分かります。

及部さんは総合エンターテイナーとして介護施設でパフォーマンス活動を続け、レクリエーション介護士2級第1号取得しました。その後、「ベンチャー×NTT西日本」で介護レクビジネスを成立させた実績をお持ちです。

 

このようにパラレルキャリアをイントレプレナーに活かすポイントは、「会社のためより、社会のために頑張るという意識をもつこと」「相談される人間になること」であると紹介。「最初は困難だったとしても、千里の道も一歩から」と、今回の参加者のみなさんが、今後はコミュニティの代表や支援者になることへの希望を込めた言葉を贈っていただきました。

 

パラレルプレナーのパネルディスカッション

興味深い実体験からなるお話を聞けたところで、100名以上の参加者から募った質問を、登壇者の3名にお答えいただきました。

 

ー複業をはじめたきっかけは?

磯村さん:
毎日わくわくしながら働きたい、と思っていたんです。2017年の元旦に『LIFE SHIFT』という本に出会って、「これは大変だ。複業しよう」と思い、4日後に開業しました。そのときは事業内容も決まっておらず、勢いでしたね。
当時、自己実現のための複業はまだ珍しかったんです。そこで、上司には、他の人に説明しやすいような、複業をする必要のあるストーリーを伝えることで理解を得ました。

 

金子さん:
30歳前後のときに転職活動をしていました。そのなかで、会社がどうなるか分からないなか、自分の人生を保証できるのは自分だけだと思ったんです。このまま会社にいると自然と年収が上がっていくかもしれないが、それに伴って自分の市場価値が上がるわけではないということに気付きました。そのとき「外に出なきゃ」「自分が持っているものを外に出さなきゃ」と強く感じ、気付けば複業がスタートしていた形です。

 

及部さん:
入社した1年目、2007年に足を怪我しました。もともとはバスケの実業団にいたんですけど、バスケができずに入院を続けることに…そのとき、周りにたくさん支えていただいたのですが、自分はそれまで感謝をお返しできていないことに気付きました。感謝を行動に起こすため、シンガーソングライターになり、その活動が最初のパラレルキャリアになります。

 

ーパラレルキャリアの第一歩として、どんな行動をすればいいでしょうか?

及部さん:
イベントの企画と実行がおすすめです。ターゲットを考え、収支計算などもするので、企画力・実行力・経営の観点・マーケティング…様々なスキルが一気に身に付きます。大きなことをやる必要はなく、小さくても「なにか動き、やってみる」ことが大事です。

 

磯村さん:
複業は収入を得るもの、という印象があるかと思います。一方で、パラレルキャリアは、収入に関係ない社外の活動も含まれると考えています。それを前提として、わたしはプロボノ(社会貢献するボランティア全般)をおすすめします。新しいことをする上に、いきなり収入を得るのはハードルが高いです。なので、まずは成果として「社会のためになること」を目指すといいでしょう。

 

金子さん:
「この人面白いな」「このコミュニティ興味あるな」というところに飛び込んでいく、まずはフォロワーになることをおすすめします。そこでの経験・見たものを真似して、自分の領域に持ち込んで実行していくところからはじめてみましょう。

 

ー社外で得たものを、社内に還元する際に大事なことはありますか?

金子さん:
多くの場合、意識的になる必要はなく、自然と還元する事業が生まれていったかなと思います。勝手につながっていくのは、自分の本業に関連する軸に多角的にアプローチできる領域で複業を展開しているからこそだと考えられますね。

 

及部さん:
私は、社内の人を大事にし、社内での人脈を拡げることを意識しています。新しいことをするとき、「社内の多くの人に応援してもらえるか」って重要ですよね。なので普段から、食事に誘ったり、自分がやっていることを発信したりしています。

 

ー複業を続けるためにどうモチベーションを保っていますか?

及部さん:
私は単純に楽しいから続いていますね。社会人を楽しむためには、「人」「お金」「スキル」「時間」をバランスよく得られることがポイントだと考えており、複業をすることで、それが実現しているので続いています。

 

磯村さん:
わくわくすることしかしない、と決めているため、モチベーションを不安視することはないですね。

 

金子さん:
お金をきっちりいただく複業だと「マストをこなさなきゃ」という意識になってしまいがちです。そうならないために、「自分のウィルにつながるには、どうすべきか?」を考えています。ウィルを明確にし、事業の方向性とマッチする部分に対してアクションを仕掛ける。そうすると労働者ではなく、行動者になるので、モチベーションの高いパフォーマンスにつながります。

 

ー複業をしていると、時間がなくなりませんか?

磯村さん:
時間は制約にならないと考えています。いわゆる知識労働をしていれば、再生産がとても楽です。むしろいろんなところで活動をすることで、全体の生産性は上がると思っています。

 

 

金子さん:
複業をすると、足し算ではなく、掛け算しているような感覚になり、アウトプットが高まっていくんです。そもそも時間を使っても編み出せなかったようなアウトプットができるので、時間がなくなることは問題ではありませんし、むしろ時間が増えるように感じています。

 

これからパラレルプレナーになる人へ

トークパートの終りに、パラレルプレナーの先輩である3名から、これから第一歩を踏み出す方へのメッセージをいただきました。

 

磯村さん:
パラレルキャリアはひとつの手段です。自分をどれだけ社会に役立てられるか、という部分が大切なので、手段にとらわれず、目的を据えて活動してください。

 

金子さん:
自分が「自立型」なのか「提案型」なのか「受動型」なのかを理解することが大事だと思います。それぞれどう動くのが最適かは違うので、自分に合う働き方を見つけてください。

 

及部さん:
パラレルプレナーは社内・社外にとらわれずに自由に活躍する人です。そんな人たちのはじまりは、みんな「行動」しかありません。行動してみることで、意識が変わっていきました。成功しても、失敗しても、すべてが積み上がり、実績になります。どんなことでもいいので、まずは行動してみましょう!

 

3名のパラレルプレナーから極意を学んだ後は、100名以上の参加者での交流会が開催されました。ここでの出会い・交わした言葉の体験が、ひとりひとりのパラレルキャリアにまたひとつ積み重なったことでしょう。

今後もパラレルプレナージャパンは、パラレルキャリアを活かして、イントレプレナーとして枠組みを飛び越えた活躍をする人々を支援していきます。

 

パラレルプレナージャパンについて

5年前は9割以上の企業が副業禁止でしたが、いまでは副業解禁となった企業も多く、副業をすることへの認知は拡大しています。しかし、それだけではせっかくの働き方を活かしきれていないかもしれません。

 

本業を継続しながら新しいことにチャレンジし、経験や知識、ネットワークが得られるのなら、それらを社内に持ち帰ってイノベーションを起すことも可能です。「副業があったから実現できた!」という活動を社内でも引き起こせてこそ、副業2.0と呼べる活躍となるのではないでしょうか。

 

いまの日本に必要なのはそんな、「組織の力」に「個の力」が掛け算できるパラレルプレナーです。この存在を増やしたいと考えた複業家・西村創一朗をはじめとした有志10人が集まって活動しているのが、パラレルプレナージャパンになります。

===
イベントファシリテーター:西村創一朗(Twitter
執筆・編集:野里のどか(ブログ/Twitter

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう