2018年9月に出版された『ビジネスモデル2.0図鑑』をご存じでしょうか?
もともとTwitterやnoteへ投稿された記事がトレンド入りするなどの注目を集めた「♯ビジネスモデル図解シリーズ」が書籍化されたもの。発売前に著者であるチャーリーさんこと近藤哲朗さん本人のnoteで書籍の内容が全文公開され、大きく話題となりました。
ネット上で全て読めるにも関わらず、書籍は発売後10日で重版が決定。本が売れない時代に『ビジネスモデル2.0図鑑』が大きく話題を集めたのはなぜか。そこには社会課題を解決するためのヒントが隠されていました。
本記事では、10月9日に行われたイベント「『ビジネスモデル2.0図鑑』出版記念イベント feat.HARES COMMUNITY」のトークセッションの内容をお伝えします。
書籍化されたのは偶然。広く読まれるビジネス書にしたかった
西村:そもそもなんでビジネスモデル図解のツイートやnoteへの投稿を始めたんですか?
チャーリーさん:流行らせたくてというよりは、図解ができたことが嬉しくて10日間連続でTwitterに投稿したのがきっかけですね。noteを始めたのは、分散してしまうツイートをまとめたくて……という単純な理由です。それが注目されて、朝起きたら出版社から連絡が来ていて、何社かと会議をして出版することになりました。
また、会場からは書籍に関して素朴な疑問が投げかけられました。
参加者:数あるビジネスモデル図解の中で、本の帯にポプテピピックを採用したのはなぜですか?
チャーリーさん:いくつか理由はあるのですが、単純に一番リアクションがあったツイートだったんですよね。あとは、そもそも帯の役割として「ビジネス書なのに、こんなことも載っているの?」っていう本の振れ幅を表したかった。
参加者:『ビジネスモデル図解2.0』が書籍として、盛り上がった背景ってどこにあると思いますか?
チャーリーさん:ビジネス書でありながら、ビジネスパーソンじゃない人にも読まれているからかなと思います。SNSの声を通して感じるのは、普段ビジネス書を読んでいない層の方が「これなら自分でも読めるかも」と話題にしてくれていて、マーケットが広がったのかなとの印象です。
すべての伏線を回収して形となったのが、ビジネスモデルの図解
西村:一見ビジネスモデル図解をし始めたのが唐突に見える一方、チャーリーさんのビジネスの延長線上にビジネスモデル図解があったのかなという印象なんですけど、そこにはどういう気付きがあったのですか?
チャーリーさん:まさにおっしゃる通りですね。株式会社そろそろを作る時に、ソーシャルにクリエイティブを持ち込むということをコンセプトに会社を立ち上げました。でも、社会課題に取り組む団体って、寄付や助成金頼みで、あまりお金がないのも事実なんですよね。それでお金がないと、必要としていてもクリエイティブを持ち込むことはできない。だから、まずはビジネスを学び、ビジネスに取り組んでみようと思ったんです。
西村:ビジネスを学ぶようになったことの方が会社を立ち上げたことよりも後なんですね!
チャーリーさん:そうなんですよ。僕自身、もともとはお金を儲けることに興味がなく、「お金よりも大事なことがある」って思っていて、あまりビジネスっていう取り組みそのものが得意じゃなくて…。でも、学んでみると「ビジネス=お金を稼ぐことが第一」ではなくて、おもしろい仕組みだなって思ったんです。それで、もともと仕組みを解くのが好きということもあって、ビジネスを可視化してみようと図解することを始めました。
西村:お話を伺って思ったのが、あまり仕事と思ってビジネスモデルの図解をやっていないですよね?
チャーリーさん:そうですね。ただ、その裏側にはソーシャルとビジネスとクリエイティブをつなぐという株式会社そろそろとしてのミッションがあったのも事実です。
あとは、僕自身、建築学科出身であったり、幼少期から折り紙で多面体を作ったり、レゴを作ったりと根っからの”仕組み好き”な性格もあります。会社と僕個人がうまく重なり合って、ビジネスモデル図解との形になったのでしょうね。
図解することで社会課題を解決する仕組み作りを創りたい
西村:去年の今頃はまだnoteのまとめもしておらず、出版の話も出ていなかったと思うと、チャーリーさんを取り巻く環境は1年で大きく変わったと思います。実際、会社やチャーリーさん自身の未来にどんな影響があるように感じていますか?
チャーリーさん:株式会社そろそろとしては、今回の出版をきっかけに、ビジネスの視点から見てもクリエイティブの需要があることがわかったので「ソーシャルとビジネスとクリエイティブをつなぐ、三方良しとする」というミッションを遂行する土台が整った気がします。だから、企業からの依頼にオーダーメイドのコンサルティングを続けていくことを続けつつ、活動の幅を広げていきたいですね。
あとは、ビジネスに苦手意識を感じているクリエイティブ寄りの人はまだまだ多いので、ビジネスモデル図解が共通言語となって、ビジネスマンとクリエイターをつなげばいいなとも思いました。
西村:なるほど。会社としてのミッションと、個人としてのミッションに対してポジティブな未来が見えたのですね。
チャーリーさん:そうですね。ただ、一方で課題も見えてきたのも事実です。というのも、僕としても株式会社そろそろとしても、最終的なゴールはソーシャルの課題を解決していくこと。
日本でソーシャルの課題に取り組む団体は、冒頭申し上げた通りまだまだ寄付や助成金頼み。でも、海外に目を向けるとNPO等のソーシャルな団体が自分たちで稼いでいる事例も多くあります。だから、ソーシャルの課題を図解して、NPOなどの団体が自分たちでマネタイズできる仕組みを作る支援をするなどの形で、「ビジネスモデル図解」で培ったものをソーシャルな領域にも活かしていきたいです。
トークセッションの後、チャーリーさんから直々にビジネスモデル図解を実践するためのレクチャーを実施。
会場からは難しいとの声があがったり、「こういう時はどのように図解すればいいのですか?」との質問がチャーリーさんに直接投げかけられたりと盛り上がりを見せていました。
ビジネスモデル2.0図鑑 | 近藤 哲朗 |本 | 通販 | Amazon
最終更新日: 2018/11/12