サイボウズでマーケターとして働きながら、サイバーエージェント社のビジネスメディア「新R25」やベビーシッターサービス「キッズライン」でもバズライターとして活躍するあつたゆかさん。「複業」に関心のあるみなさんの中には、新卒1年目から複業に取り組む彼女の名前を目にしたことがある方も多いのでは?

そんなあつたさんも現在は社会人4年目。本業のマーケターと複業のライター、両方の活動を着実にレベルアップさせながら、2019年11月からは「スキ活サロン」というオンラインサロンの運営も開始。

今回は進化しつづけるあつたさんに、2編にわたるインタビューを実施。前編では、複業を始めたきっかけやその想い、さらに複業が本業に活きた経験について伺いました。

就活の原体験は、ジェンダーに関する固定観念

―あつたさん、今日はよろしくお願いします。現在、本業のサイボウズではどんな仕事をされていらっしゃいますか?

こちらこそよろしくお願いします。サイボウズではマーケティングを担当し、主に「ガルーン」というスケジュール調整や情報共有のシステムの製品プロモーションに携わってます。広告を作ったり、動画を作ったり、チラシを作ったり、イベントを運営したりと、プロモーション全般について幅広く仕事をしています。

―そもそもサイボウズに入社されたきっかけは何だったのでしょうか?就活について教えてください。

大学生の頃、仲が良かった男の子に「就職したらゆかの方が俺よりもお給料高くなりそうで、一緒にいるのが辛い」という理由で距離を置かれてしまったことが就活の原体験です。

―たしかに事前にいただいた「ライフログ」でも、一番どん底にあるのがこの時期ですね。

はい。「そもそもまだ就職も決まってないのになんでそんなことわかるんだろう」とか「仮に私の方がお給料が高かったとして、何が問題なんだろう」とモヤモヤして。

きっと彼は「男性の方が稼がなきゃいけない」というプレッシャーに苦しんでいたと思うのですが、それがすごくもどかしいなと思ったんです。

その経験から、「男性だからこう」「女性だからこう」という風潮をなくし、誰もが自分らしい選択や生き方をできる社会をつくりたい、と思うようになりました。そこから考えをブレークダウンして、就活をスタートしました。

家庭と職場、両方の負を解決したい ― ITの力で職場の負を解決するサイボウズ

―ブレークダウンの過程についてもぜひお伺いしたいです。

まず、そもそも「人が自分らしい生き方ができなくなってしまう要因は何だろう?」と考えてみたんです。すると、それは「職場」と「家庭」に因数分解できるんじゃないかと思いました。

―なるほど。もう少し詳しく聞かせていただけますか?

まずは、職場が自分らしく生きることを阻害するパターン。例えばブラック企業に勤めてしまうと、仕事量が多すぎて、自分がしたいことがあるのに家に帰れない、という風になりがちですよね。

―たしかに、そうですね。

もう1つは家庭がブラックな場合。たとえ職場環境に恵まれて早く帰れても、「嫁ブロック」「旦那さんの反対」で、自分のしたいことができない、というのもよくある話です。なので、家庭と職場、両方の”負”を解決すればみんなが自分らしく生きれるんじゃないか、と思ったんです。

―なるほど、わかりやすい。

そこで就活では、職場の負を解決している企業か、家庭の負を解決している企業に行こうと思いました。その中で、職場の負を解決するのはITだと考え、IT系をたくさん受けていました。

―なかでもサイボウズに最終的に就職を決めた理由は何だったのでしょうか?

日本でいちばん多様性を大事にして、最先端の働き方を提案しているのがサイボウズだと思ったんです。実際に、サイボウズのプロダクトを導入したおかげで社員が早く帰れるようになった企業もあって。サイボウズの考え方が広まれば、日本は絶対に良くなると思い、サイボウズに決めました。

自分のビジョンを達成するため、新卒1年目から複業

―自分のビジョンに合致してサイボウズに入社されたあつたさん。そんな中でさらに複業をやろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

複業を始めたのは新卒1年目の12月頃で、「仕事もひととおり覚えてきたかな」というタイミングでした。

そもそも私がやりたいことは「職場と家庭の負を解決する」ことだったのですが、サイボウズの仕事はBtoBなので「職場の負を解決する」のがメインで。

それはそれでやりたいことではありましたが、サイボウズの「チームワークあふれる社会を創る」というミッションを改めて深堀ったとき、「社会」って企業だけで成り立っているわけじゃない、「家庭」も人の生活を支える重要なチームだと再認識して

特に何か大きなきっかけがあったわけではないんですが、仕事が落ち着いたタイミングにふと「家庭の負を解決する仕事もしたい」という想いが強まったんです。

―なるほど。でも、サイボウズの新規事業としてやりたいと言っても、なかなか難しいですよね。

そうなんです。で、どうすればいいのかな、と思っていたときにたまたまTwitterでベビーシッターサービス「キッズライン」のインターン募集を見かけて。キッズラインは社会貢献性が高い事業だし、家庭の負を解決することに繋がりそうだと確信しました。

そこで、すぐにキッズラインのインターンに応募。当初は、ライターをやりたいと思っていたわけではないのですが、「何でもやります!」と言ったら、「じゃあライティングお願いします」って言われて。そこからライター人生が始まりました。

複業の成果は出やすい―1つ1つの積み重ねでレベルアップ

―実際に複業をされてみてどうでしたか?「家庭の負を解消する」というところにコミット出来ている感覚はありましたか?

ありましたね。今でこそベビーシッターの利用は浸透していますが、3年前の当時は、まだ「ベビーシッター=育児に手を抜いている」という風潮だったんです。でも、「あつたさんの記事を読んでベビーシッターを使おうと思った」というお声を頂いたり、記事がちょくちょくバズり始めたりして。

―すごい!

ベビーシッターを使ってデートをした夫婦のインタビュー記事や、サイボウズで開催したベビーシッター付き飲み会のレポート記事のPVがすごく伸びたんです。

会社の仕事は成果が出るまでにある程度の時間がかかるものですが、特にライター業はPVやいいね数などの成果も見えやすく、個人の仕事の楽しさを実感しました。自分のビジョンとも合致していた仕事だったので、やりがいも大きくて。

―そこから広がっていって、キッズラインでも著名な方の記事を書いたり、新R25でもめちゃくちゃバズる記事を書かれていましたよね。

そうなんです。最初キッズラインでは、一般の方の事例取材が中心でしたが、記事のPVが伸びるにつれ、落合陽一さんやスザンヌさんなど、著名な方の取材も任せていただけるようになりました。

そこから新R25をはじめとする他のメディアからも仕事の依頼が来るようになって。キッズラインの記事はオウンドメディアでしたが、新R25はYahoo!ニュースなどにも配信されるので、自分の書いた記事の反響がどんどん大きくなりました。

私が発信したい「多様な結婚観」についての記事が何百万人の人にも見てもらえる、というのは大きな喜びです。1つ1つの仕事で成果を出すことで、着実に複業が世界を広げてくれましたね。

複業で自己実現ができたから、本業のマストも精力的に取り組めるように

―RPGのように着実に経験値を上げて、複業もどんどんレベルアップしているあつたさん。複業の経験が本業に生きていると思ったことはありますか?

2つあります。まず、編集やライティングのスキル面。実は本業で「サイボウズ式」(※サイボウズ社のオウンドメディア)の企画編集も担当しているのですが、今のところ2019年で1番ヒットした記事は私が企画・編集した記事なんです。取材に協力していただいた方やライターさんのおかげでもあるのですが、複業でいろいろな媒体で書かせていただいた経験が活きてるな、と。

あとは、マインド面も大きいです。自分でも嫌な性格だなと思うのですが、私は「やりたいことをやりたい」という気持ちが人よりも強いことに悩んでいました。「やりたいわけではないけど、やらなければいけないこと」への我慢耐性が人よりも弱い。だから、1つの組織だけにいたら辛かったと思うんですよね。あれをやりたい、これをやりたいっていう気持ちがあっても、会社だとやりたいこととは別に、やらなければいけないこともたくさんあるじゃないですか。

だけど、複業をするようになってからは本業の「やらなければいけないこと」に落ち着いて向き合えるようになりました。いい意味で本業に自己実現を求めなくなったというか、複業で自分のやりたいことが出来ているからこそ、本業では「やりたいわけではないけれど、誰かがやらなければいけない仕事」も拾おう、という気持ちになれたんです。このマインドチェンジは、複業で充実感を得られているからこそだと思います。

―たしかに。仕事にはWill(やりたい仕事)とMust(やらなければいけない仕事)がありますが、普通ならMustばかりだと、Willをやりたい!と気持ちが分散しちゃうところを、複業でWillが叶えられているから、本業のMustにより集中できるようになったんですね。

まさにそうです。私の場合、複業をやったからこそ本業にも身が入って、集中して出来るようになりました。

―複業をやると本業に専念できなくなるんではないか、というのはよく懸念される話ですが、あつたさんの場合はそれが逆であったと。示唆に富んだお話をありがとうございます!

取材後記

「複業をやると本業に専念できなくなる」という従来の懸念を覆すあつたさんのエピソード。複業の仕事のレベルを着実に上げながら仕事の幅を広げ、それを本業でも還元することで、生き生きと活躍を続けるあつたさんの笑顔が印象的な取材でした。

複業に興味のある方は、7/13(土)開催の複業FESにもぜひお越しください。
今回ご取材させていただいたあつたさんも登壇予定です!

複業FES2019の詳細はこちら

後編では、本業・複業だけに留まらずあつたさんが主宰される2019年11月オープンのオンラインサロン「スキ活サロン」についても迫ります!

 

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