複業家のためのオンラインサロン「HARES COLLEGE」では、毎週水曜日に「好き」と「得意」で稼ぐ複業家をゲストにお招きした朝型勉強会「HARES LIVE」を開催しています。複業家を目指す、もしくは現在複業を行う人同士が密な関係でQ&Aやディスカッションを行います。

本記事は一般社団法人 at Will Work代表理事・藤本あゆみさんをゲストにお招きしたHARES LIVEの内容をダイジェストでお届けします。藤本さんは人材業界からGoogleに異業種転職したのち、現在は株式会社お金のデザインで正社員として働きながら、働きやすい社会づくりを目的とした「一般社団法人 at Will Work」で代表理事を務める複業家。藤本さんが独立される経緯や、自らに導入する評価制度OKRについて、これから複業を始める人へのアドバイスなどを語っていただきました。

本日のゲスト:藤本あゆみ(フジモト アユミ)

大学卒業後、2002年キャリアデザインセンターに入社。求人広告媒体の営業職を経て、入社3年目に、当時唯一の女性マネージャーに最年少で就任。2007年4月グーグルに転職。代理店渉外職を経て、営業マネージャーに就任。女性活躍プロジェクト「Women Will Project」のパートナー担当を経て、同社退社後2016年5月、一般社団法人at Will Workを設立。2016年3月より株式会社お金のデザインにてPR マネージャーとしても従事。

夜中の2時に「今からいきます」。働き方を見つめ直そうと思った

-現在藤本さんは「一般社団法人 at Will Work」にて働きやすい社会の実現に取り組まれているとお伺いしました。立ち上げ以前からそうした考えをお持ちだったのでしょうか?

いえ、全然(笑)。

学生時代はとにかく「ドキュメンタリー番組を制作したい」の一点張りで、働き方について考えたことは一度もありませんでした。大学よりも制作会社のアルバイトにウェイトを置いていて、とにかくがむしゃらに働いていましたね。

 

-ファーストキャリアは人材紹介事業を展開するキャリアデザインセンターですよね。志望業界を変える転機があったのでしょうか?

制作会社でアルバイトをしていた頃に「働き方」について考える衝撃的な出会いがありました。アーティストのプロモーション動画の撮影があって、ある日の撮影で深夜2時頃になってしまったことががあったんです。担当の広告代理店の方に無理を言って「今から現場に来れますか?」と連絡したところ、10分足らずで合流してくれて。彼は「そういう仕事なので」と平然としていましたが、まるで1日が24時間以上あるような働き方でした。その光景を目の当たりにして、少し驚いてしまったんです。

 

-自分にその働き方を置き換えたときに、不安があったのですね。

もし制作会社に入社したら、「私の20代はこんなにも大変な10年間になるのだろか」と深く考えました。そこで違う選択肢も視野に入れて就職活動を始めたときに、個人で人材紹介業を営んでいた父の仕事に関心を持つようなったんです。

以来、父はよく仕事選びの大切さを私に話してくれました。父曰く「人生において仕事は大半の時間を占める。だからこそ仕事選びは人生を左右する」。つまり仕事と人をつなげる人材紹介は、人の人生に向き合う仕事なんですよね。「ドキュメンタリーに似ているな」と感じました。

そもそも制作会社に就職したところでドキュメンタリーに携われるとも限らないですし、働き方への関心も高まっているところでしたので、自分の働き方も見つめられる職に就こうと思い直し、転職サイト「@type」を運営するキャリアデザインセンターに就職しました。

Googleへ転職し、“働き方改革”を推進。

-キャリアデザインセンターでは、人材紹介に携わる仕事をしていたのでしょうか?

人材紹介事業部で働きたかったのですが、配属されたのは求人媒体の営業でした。理想としていたキャリアが最初に崩れてしまったので少し心が折れそうにもなりましたが、そこは自分を奮い立たせ、せっかく新卒で入社した会社なのだから「まずは頑張ろう」と。

頑張っていれば仕事は楽しくなってくるもので、未経験の仕事でも、やりたいこととは少し違っても徐々にやりがいを見出せるようになりました。目の前のことにがむしゃらに取り組んでいたら、いつの間にかマネージャーに。振り返れば、とても充実したファーストキャリアだったと思います。

 

-Googleに転職してきっかけを教えていただけますか?

きっかけは結婚したことです。新卒からがむしゃらに働き、一旦区切りがついたところで「次は新しいことに挑戦しよう」と思い、転職を決めました。仕事柄どんな会社がどんな求人をしているかは熟知していたのですが、リクナビNEXTをみながら転職先を探していたときにたまたまGoogleの求人広告を見つけたんです。「本当にあのGoogle?」と思うくらいにしか同社のことは知りませんでしたが、まずは受けてみようと(笑)。

前職時代のマネージャー経験が幸いして入社の機会をいただき、入社後は新しい業界だったため慣れないながらも毎日仕事に夢中になっていました。ただ、これは私のパーソナリティですが、仕事に慣れてくると新しいことに挑戦したくなるんです。

Googleで仕事をしていた、ということは大きなポイントになりますし、給与も安定しています。手放す理由はないのですが、やっぱり物足りなさを感じてしまって。そんなときに出会ったのがテクノロジーにより女性が直面する問題の解決を目指すGoogleのアジア太平洋地域全体の取り組み「Womenwil」でした。

 

-Womenwilではどのような取り組みをされていたのでしょうか。

現在は働き方改革に関する取り組みを行っていますが、当時は女性を対象に出産後の復職を目指す取り組み「#HappyBackToWork」が中心でした。

 

-「一般社団法人 at Will Work」の立ち上げの背景にあるのがWomenwilでの活動ですか?

「#HappyBackToWork」は復職の有り様を変えるプロジェクトですが、そうした現状を本気で変革するには、復職だけにフォーカスを当てていたら不十分。お母さんだけの仕組みではなく、全ての人にとっての働き方が変わっていかないと現状を変えることはできないと思ったんです。

復職の改革を含む、より大きな枠組みの「働き方の改革」へと舵を切るなら、会社を出て独立すべきだと感じました。

「先にゴールを決める」。成功をもたらしたGoogleの行動規範

-「一般社団法人 at Will Work」を立ち上げたのは現在正社員として務める「お金のデザイン」の入社時期と同じ頃ですよね。複業をするのであれば業務委託がベターな方法だと思いますが、なぜ正社員勤務を選ばれたのでしょうか?

お金のデザインでもお仕事をするにあたり、最初は週3日などの業務委託で、と話をしていたんですが、会長に「その働き方の選択肢は、従来の複業と何も変わっていない。“自分で働き方の選択肢を作れる未来”を作りたいなら、正社員として働く選択肢はどう?」と尋ねられました。

私も「たしかに」とは思いつつ、ただでさえ一人一人の業務範囲が広いいスタートアップに“フルコミットしない正社員がいる”状態はあまり聞いたことないですよね。既に働いている社員の方も困惑してしまうはずです。

 

-周囲の理解を得るために何か工夫をされたのですか?

自らのOKR(Objective and Key Result)を宣言するようにしました。OKRとは組織の成長につながる個人の目標を設定し、目標の達成度を図る指標を明確に提示することで、個人の目標と結果を可視化する評価制度です。

毎日8時間働こうが、2時間働こうが、「達成すべき指標」は変わりません。関わる時間が少なくても、成果を出すことで周囲の理解を得るようにしました。会社にいながらat Will Workの業務をすることもあります。でも、明確な目標を達成することは徹底しています。

仮に達成できていなければお金のデザインに費やす時間を増やせばいいだけ。もしくは、少ない時間で目標が達成されてしまうなら、目標をより高く設定する。こうして都度目標をアップデートして、コミュニケーションを取れば特に勤務時間が問題になることはないんです。

 

-藤本さん自身が新しい働き方のロールモデルになっているんですね。

誰の不利にもならないように気をつけ、しっかりと社内にフィードバックをするようにしています。うまくいけば働き方の多様性を提示することができますし、もしうまくいかなくてもノウハウを残していける。入社後に世界一周旅行に出かけながら働いていたこともあります。イースター島から会議にリモートで参加しました(笑)。

よくよく考えてみれば、どこの会社に籍を置いていても一つの業務だけに着手することはありません。誰しもマルチタスクを抱え、全てを遂行させるための時間配分を考えていると思います。それなのに、仕事が複数になると業務時間をコミット量で図られてしまう。それってナンセンスですよね。

私が新しい働き方をすることで、あちこちで働き方のブレークスルーが起きていくのではと信じています。環境を作れば、みんなが慣れてくる。それが、“働き方改革の第一歩”です。

 

-最後に、これから複業を始める人、もしくは現在複業をされている方にアドバイスをお願いします。

Googleでは、“thinking big, starting small, and scaling fast.” という言葉があります。大きなビジョンを掲げたら、小さくても行動を起こして、スピーディーに展開するという意味です。

at Will Workでは、立ち上げから活動は5年間、と最初に決めて活動を開始しました。働き方改革は、一見実現できないほど大きな目標に感じますが、方法は後から考えればいい。結果として第一回のカンファレンスも目標の集客数を達成し、大きな反響を得ることができました。

小さなことを積み上げていくのも大切ですが、まずはゴールを決めてしまうのが良いと思います。やり切る気持ちは結果を生み、結果は人を大きく成長させてくれるはずです。

 

■この記事のつくり手

文章:オバラミツフミ

編集:奥岡権人

撮影:木村まな

 

 

この記事の作り手: 奥岡権人 / KentoOkuoka

“「HARES.JP」は、小さな世界をつなぐコミュニティメディアです。世界に無数に存在する小さな組織をメディア(媒介)として引き合わせ、新しく小さなコミュニティをつくる。「大事にしたかったけど、今までできてなかったこと」を記事として発信し、利己と利他、仕事と家庭、経済合理性と幸福など、対極にあるものの“両方”を大事にできる世界をつくります。”

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