HARESはいつも色んな人に支えられています。複業家を始め、様々な人に支えられる中、携わっているひとりがサービスをローンチしました。

今回取材したのは、株式会社RUCの代表取締役の早川晋平さん。渋谷でスタートアップを経営されています。

そんな早川さんが新しくローンチしたサービスが、資料探しサービスの「DROPPA」。聞けば、税理士法人に務めながらプログラミングを勉強し、「複業」としてITに携わる中で生まれたサービスのひとつが、資料探しのクラウドストレージ「DROPPA」だそう。今回のHARESは、早川さんが複業を経て起業するまでのストーリーをお伺いしました。

起業志望だけど、新卒は「あえて」税理士法人へ

ー早川さんは新卒で税理士法人に入社されています。どうして財務コンサルタントの道を選ばれたんですか?

この業界に会計のバックグラウンドを持っている人は確かに少ないかもしれないですね。僕の場合はもともと起業志向で、新卒で入る会社は「学ぶ場所」と決めていたんです。サイバーエージェントの藤田晋さんの著書「渋谷で働く社長の告白」を読んで思い立ち、「2年後に起業する」ことを目標に置いて、就職活動をしました。

とはいえ、当時は「代数学」を専攻するただの理系の大学生。なので、全ての業種において必要となる、経理・財務などの”バックオフィス”から学ぼうと思いました。

 

ーこれはイメージですが、起業志向の人はもっと「エンジニア」や「営業」など”わかりやすいところ”を選ぶイメージでした。

まぁ普通に考えて、変なやつですよね(笑)

もともと20代で起業すると決めていましたから、面接では「2年で辞めて起業します。」と言い切っていました。10年・20年と勤めていくのが当たり前の業界で僕は「2年で辞める」と言い切っていたので、面接官も逆に「面白い」と思ってくれていたのでしょう。

税理士法人を選んだ理由は、「ないところからお金をつくる」経験が必要だと思ったからです。僕が就職活動をしていた時期は、コンサルティング会社が学生の間で流行っていて、実際に僕も会計系のコンサルティング会社にも内定を頂いていました。でも、そこで行うのは大企業が大きな予算を割り振られた後の「お金の使い方」を考える経営管理です。

僕が将来やりたかったのは起業、つまり、何もない状態から大きな会社を創っていくことです。いきなり大企業から始まる企業はありません。なので僕は、中小企業の経理・財務コンサルティングを行う小さな税理士法人を選びました。

ー「逆張りのキャリア形成」なのかもしれませんね。実際に入ってみて、起業に必要な「泥臭い部分」は経験できましたか?

入社してからは、理想の仕事との「ギャップ」に打ちのめされました。こういうのは良くないんですが、正直、”もう少し”華やかな仕事だと思ってました(笑)。

税理士法人は、銀行借り入れを支援したり、広告費の使い方を一緒に考えたりする、「財務コンサルティング業務」ができると思っていました。しかし実際の業務は、「会計事務」がほとんど。

担当する会社は、美容室や建設業などのスモールビジネスです。成長の仕方としては、労働集約でコツコツと売り上げを積み上げるビジネスモデルが多い。例えば美容室なら、「お客さんをいかに早く回転させるか」が売上にそのままつながりますし、売上の上限は店舗の大きさに比例します。

クライアント企業は「会計や財務がわからないので、領収書や取引明細は全て渡すから巻きとって欲しい」という要望が多い。なので、僕の仕事は「財務から経営へのアドバイスをする」というよりは、領収書の明細を一つ一つ会計ソフトに打つ「作業」だったんです。

8-23時まで領収書と睨めっこする毎日。想像以上に、泥臭い仕事を経験しました。

ITに”自分の仕事”を奪われた。でも、奪われて良かった。

ー財務コンサルティングをする日々の中で、何か転換点があったのでしょうか?

そんなタイミングで出会ったのが、Money forwardが出している「MFクラウド会計」でした。始めて見たとき、「なんじゃこりゃ!」と思わず声が出るくらいに自分の中で衝撃が走りました。

MFクラウド会計は、会計事務をコンピューターが全て「自動」でやるサービス。取引明細はリアルタイムで仕分けされるので、手入力によるミスがありません。しかも、集めたデータから財務分析までできます。

 

ー早川さんがやってた「単純作業」を、ITに代替されてしまったんですね。

「通帳やクレジットの明細を手で入力すること」は機械でもできること。結果として、ITの仕事を”奪われて良かった”んです。

クラウド会計ソフトをクライアントに導入すれば取引が自動で仕分けされる。すると、自分たちが今までそれをやっていた時間がそのまま、担当企業の財務を見る時間に変わるんです。

今までは企業が「何にお金をいくら使っているか」まではわからなかったけれど、領収書を見て「どこにお金を使い過ぎているか」「本質的にはどこにお金を使うべきか」をアドバイスできるようになったんです。これが本来「僕たちがやるべき仕事」だったんです。

例えば、美容室が集客に月60万円をかけているとして、新規での来訪が60人だとします。一見集客効果があるように見えますが、4000円のカットに対して、一人あたりの新規顧客獲得に1万円の費用を投じているということは、割に合っていません。その集客費用を、採用や研修など「よりお金をかけるべきこと」に使えるようになり、結果的にビジネスも上向きになる。

結果として、僕たちは仕事を「奪われる」のではなく、 面倒な作業を機械がやることで、より本質的な業務に集中できるようになったんです。それが腹落ちした瞬間でした。

業務後にTECH::CAMPへ。複業でプログラミング。

ーその後プログラミングを学び始めたのは、なにかきっかけがあったのでしょうか?

「ITを使えば労働生産性を上げられる」と思ってから、MFクラウド会計を「どうやってつくるのか」を知りたくなり、プログラミングを勉強することにしました。

たまたま、Facebookの広告で、TECH::CAMPの「人生を変える一ヶ月。」というキャッチコピーを目にして入会を決めました。当時は、TECH::CAMPの大阪校が開かれた直後。CEOの真子さんがメンターとして直々に僕にプログラミングを教えてくれました。

受講している間は会社を20時であがり、校舎の終了時刻である23時まで、眠気で半目になりながら勉強していました。22時30分に行き、30分だけ勉強しに行ったこともあります。後にわかったことですが、「大阪にヤバいほど熱心な受講生がいる」と噂になってたらしいですね(笑)それくらい、必死で学んでいました。

TECH::CAMPで学ぶにあたり、決めていたのは「WEBの受注をする」こと。学んだ甲斐があり、受講終了した次の日に知り合いのWEBサイト制作を受託しました。そこから僕の複業がスタートし、起業へと繋がりました。

 

ー実際に複業をやってみて、どんなことが起業へと繋がりましたか?

おこがましい事を言いますが、「複業を出来る人・出来ない人」の違いは、「起業が出来る・出来ない人」のそれと似ていると思っています。複業をすると、「自分が今やっていることが、なぜお金になっているのか」を考えさせられる。僕は受託制作していた時は、自分の作ったウェブサイトしか評価されませんから、平日夜23時からマクドナルドに駆け込んででも、土日を返上してでも納品します。

そこで初めて気付くんですが、サラリーマンは一日ボーっとしていてもお金が入るんです。もちろんそんなことはしませんけど。でも複業や起業は、相手に価値を提供し、感謝されて初めてお金がいただけます。

会社に勤めている中で、「仕事だと思ってやってることが、実は成果につながっていない」ことは往々にしてあるし、自分でやってみないとその事実に気づかない。「感謝に対するお金なのか、時間に対するお金なのか」がわかるようになってから、本業への取り組み方も大きく変わりました。

その後税理士法人を辞め、ウェブ制作の受託開発と営業代行でお金を貯めた後に、2016年4月に株式会社RUCを創業しました。

ITが”自分にしかできない仕事”をつくる

ーDROPPAが生まれるまでの経緯を教えていただけますか?

もともとは違うプロダクトを作っていて、その開発のために様々な企業へヒアリングを繰り返していました。すると、多くの企業は”書類整理”に悩まされていることが分かりました。

主にバックオフィスが、「Aさんが保存した書類が見つからない」「紙のファイリングが大変だ」と漏らすのです。税理士法人に勤めていた頃はクライアントの担当がバックオフィスだったので、紙の書類整理に時間を取られる状況は想像できました。そこで着想を得て開発したのが、書類の整理とペーパーレス化を促すクラウドストレージ、「DROPPA」です。

ー「DROPPA」はどんなサービスなのでしょうか?

DROPPAの特徴の一つが、フォルダの階層と名前をテンプレートとして指定してファイルを保存できる、「自動整理機能」。検索にかければ「これはどこのクライアントのどこの書類」と一発でヒットするので書類を探す時間がなくなりますし、「人によって保存の仕方が違い、後任者が探せない」という問題が解決されます。さらにこれからはAIを導入し、新しくクライアントが増えた場合も、最適なフォルダに指定された名前で保存できる機能を順次開発していく予定です。

もう一つが、紙のファイルをスキャンして保存する「ペーパーレス機能」です。DROPPAにデータとして保存していただければ、契約書や領収書など「原本保管が必要な書類」でも、書類破棄ができるようになります。契約書を保管する倉庫がなくなるため、管理コストの削減が実現すると同時に、紛失機会が無くなります。また、情報漏洩も防げると考えています。

ー最後に今後の展望について教えてください。

人間がものを探すのに使う時間は、年間で150時間と言われています。だいたい1ヶ月の労働時間と同じくらい。DROPPAはその時間をゼロにすることができます。

会社が目指すのは、最終的には「その人にしかできない仕事」を創り、働く人の価値観を変えること。だれでもできる仕事は、僕らのプロダクトが引き受けます。

大事なのは、「IT化によってできた時間を何に使うか」です。そのために、書類探しに使う時間をゼロにすることだけでなく、「自動化できた時間で、自分しか出来ない仕事は何か?」と働く人の中に問いを生み出していきたいと思っています。

取材後記

早川さんの「感謝に対するお金なのか、時間に対するお金なのかがわかってから、本業への取り組み方が変わった」という言葉が、胸に残ります。プログラミングを始めて2ヶ月で受託制作ができるようになるには、大変な訓練が必要でしょう。

早川さんのストーリーに触れ、「成果ベース」でお金をいただく複業だからこそ培える「経営者視点」を感じることができました。

<関連情報>

・資料探しのクラウドストレージ「DROPPA」の資料請求はこちらから

・早川さんの会社、RUCでは人材を募集してます。「日本中の会社でペーパーレスを実現するエンジニアをWANTED!」

・早川さんが通っていたテクノロジースクール「TECH::CAMP」はこちらから

<書き手>

撮影・執筆:奥岡けんと@ketokunsan

 

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