前編でウィルゲートが複業解禁に至ったいきさつや組織に対する考え方を語ってくれた専務取締役の吉岡さん。インタビュー後編では、ウィルゲートが事業を通して実現したい世界観をお届けします。

「Webライティング」に特化したクラウドソーシングサイト『サグーワークス』誕生のワケ

--複業の中でも人気が高い働き方の一つ「webライティング」に特化したクラウドソーシングサイト『サグーワークス』とはどのようなサービスなのでしょうか?


吉岡さん:
弊社は創業以来、SEOを中心としたwebマーケティング事業をメインで行ってきました。
従来のSEO対策といえば、検索キーワードを選定したり、検索エンジンに適したサイト構造を設計したりする内部対策、サイトの評価を高めるための外部リンクを増やす外部対策が主流でした。

しかし、Googleアルゴリズムの進化により、外部リンクよりも、検索ユーザーが必要としている「良いコンテンツ」の方が評価されるようになりました。

そのため、よりコンテンツの質を高めようとするWebサイトが増えています。そのような中で、優秀なライターを集めて「良いコンテンツ」をお届けできるプラットフォームを作りたい、ということで始めたのがサグーワークスです。

15328407_10211421213474093_160120958_n 現在、立ち上げ4年目で14万人ほどのライターがサグーワークスに登録しています。ほとんどが複業としてライターを行っている方々で、本業は会社員3割、主婦3割、学生3割、その他が1割です。このライターのネットワークを駆使して、企業様が求める記事を提供できるのがサグーワークスの特徴です。

--SEO事業が中心だった中、サグーワークスの事業立ち上げに踏み切ったのは、なにかきっかけがあったのでしょうか?

先ほどお伝えした検索エンジンアルゴリズムの変化にともなって、お客様から社内で記事を作成するリソースがないという声を多く聞くようになり、弊社としてもコンサルティングだけではなく、記事作成をサービスとして提供できないかと考えておりました。

それに加えて、新規事業であるWebメディア事業の売却もきっかけとなりました。人員を伴う事業売却ではなかったので、その事業部の所属メンバーが「新しい事業を立ち上げよう」ということで生まれたのが、サグーワークスです。

売却した事業とは違い、サグーワークスはコンテンツマーケティング事業とのシナジーが強いので、短期間で急成長することができたのだと思っています。

--顧客ニーズから生まれたビジネスだったのですね。検索した際に表示されるコンテンツがより良いものになるのはユーザーにとっても良いことですよね。

 そうですね。一方で、一般的なクラウドソーシングの課題としては、「ワーカーが得意ではない分野でもライティングをするので、品質が担保されていないコンテンツが量産されてしまう」というものがあると思います。例えば、男性が女性の脱毛の記事を書いてしまう、みたいな。

サグーワークスではそういったことを無くしていくために、より文章力が高く、特定分野の経験をもつライターを集めた『サグーライティングプラチナ』というサービスに2015年から注力しています。

sagooo_platinum サグーワークスで記事を書いているライターは月間で数千人ほどです。そのなかでも『サグーライティングプラチナ』を利用できるのは、弊社独自のテストを受けて合格した方のみ。テストに合格したライターを、プラチナライターとして認定しています。看護師、弁護士、調理師、ウェディングプランナーというような特定業界の専門知識を持った方ほど企業からのニーズが高い傾向にあります。

ライターの「専門性」や「好きなこと」を活かせる仕事なので、サグーライティングプラチナでは先ほど言ったような仕事とライターのミスマッチが少なくなります。ライターも得意なことや好きなことについて書いてお金がもらえるならば嬉しいはずですし、得意ジャンルであれば記事のクオリティも必然的に高くなります。

現在は仕事とライターのマッチングをより大規模に行っていくための技術研究やシステム開発に大きく投資しています。ライターの趣味や得意なことをしっかりとデータベース化して、自然言語処理、機械学習といった技術を用いて、マッチングの精度を高めている真っ最中です。

--サグーワークスをこれからどのようにしていきたいですか?

 より質が高く、読み手が面白いと感じる記事をたくさん提供できるようにサービス改善の努力を続けています。
例えば、弊社では『サグーリサーチ』というアンケートに特化したクラウドソーシングもやっているんですが、「プロポーズの失敗」についてのアンケートであれば、「どういうシチュエーションで」「何年付き合っている状態で」というような回答を集めます。そして、集めた回答をもとに「プロポーズの失敗談」としてライターが記事を執筆するということをしています。

今後は、業界ごとに編集者を集めていきたいと思っています。
記事の企画力や編集力を上げて、適切なライターをアサインすることができれば、記事のクオリティをかなり上げることができると思っています。

--ライターは誰でも手軽に始められるけれど、質の高い記事を書くのはそんなに簡単ではないということですね。

日本のクラウドソーシング市場が今年1000億、来年1500億と成長していく中で、ライティングの市場が占める割合は大きいのではないかと感じています。文章を書くだけであれば専門的なスキルが必要ないため、複業としても取り組みやすい領域ですよね。

ちなみに、サグーワークスのユーザーを対象に「ライティングでどれくらい稼ぎたいですか?」というアンケートを行ったところ、「月額10万円未満」「空いた時間でやりたい」という方がとても多い結果でした。

実はサグーワークスのライターは、フリーランスの比率が7%。つまり、残りの93%の人は複業でライターをしているという状況です。
クラウドソーシングは報酬が安くて月に数万円しか稼げてないという批判をたまに受けますが、ライター自身の満足度は稼いでいる額では必ずしも測れないと思っています。

2016年3月に開催した「サグーワークスオフ会」の様子
2016年3月に開催した「サグーワークスオフ会」の様子

「暮らしニスタ」で主婦業そのものが職業に。

--ここまでくると、ウィルゲート=SEOというイメージもだいぶ変わってきますね。他にはどういったことに注力されているんですか?

主婦の暮らしにワクワクを増やしていく『暮らしニスタ』というメディアを運営しています。これは、わかりやすく言うと以前日本テレビ系列で放送されていた『伊東家の食卓』のように暮らしのアイデアをユーザーが投稿できるwebサービスです。2014年9月にリリースして、1年半ほどで月間利用者数が270万人を超えています。
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主婦の中には、より効率的に、より楽しく家事や育児をするために、いろいろな工夫をされている方がたくさんいます。暮らしの中で生まれたアイデアを広めたい、多くの人に知ってもらいたいという主婦のために生まれたのが「暮らしニスタ」です。

アイデアを広めるだけでなく、「主婦業や趣味を通じてお金がもらえたらもっと素敵だよね」ということで、暮らしニスタで特に活躍中のユーザーを「暮らしニスタプレミア」に認定しています。暮らしニスタプレミアに認定されると、企業からお仕事のスカウトがくるようになります。

家事や趣味の活動にスポンサーがついたり、スカウトをきっかけに本を出版されたりする方もいます。こんな風に主婦としての働きが世の中に認められることで、「暮らしニスタ」自体が職業の一つになるといいな、と思って運営しています。

「サグーワークス」も「暮らしニスタ」も共通しているのが、「好きなこと・得意なことを生かせて、自分の成長にもつながるプラットフォーム」であるということ。この2サービスのユーザーを増やす、ユーザーへの提供価値をさらに高めることを通じて「一人ひとりの『will』を実現する」というウィルゲートの理念を実現したいと思っています。また、さらに理念を体現できるような新規事業をどんどん立ち上げていく予定です。

取材後記

「一人ひとりの『will』を実現する」という理念を掲げるウィルゲート。

ほとんどの企業で「企業理念」が理念のままで終わってしまっている中、社員の副業・複業の解禁を決めたり、「サグーワークス」「暮らしニスタ」など新しい働き方を実現するサービスを次々と立ち上げたりするなど、ウィルゲート共同創業者の吉岡さんへのインタビューを通じて、理念実現に向けた本気度を感じました。

ウィルゲートのように、社員の複業を認める企業がもっと増え、新しい働き方が実現できるサービスがもっと増えていくといいですね。

自分の「好きなこと」や「得意なこと」を仕事にする「二兎を追って二兎を得る」働き方が、ジワジワと広がっていることを肌で感じます。

(インタビュー:西村創一朗、文:奥岡権人