「二兎を追って二兎を得る生き方」を応援するライフスタイルマガジンHARES。インタビュー第一弾は、プログラミングスクールTECH::CAMPを運営する株式会社div代表取締役社長、真子就有さんのストーリーをお届けします。

大学卒業1ヶ月前に内定辞退、起業を決意

ーー現在、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長中のTECH::CAMPを運営されているdivさんですが、学生時代に起業をされたと伺いました。真子さんが学生起業をしたのは、何かきっかけがあったんですか?

きっかけは、大学4年の12月です。当時、じげんで内定者アルバイトとして働いてました。もともと人と違うことやってやろう、デカいことしてやろう、という気持ちがありました。当時は、成長しないと起業の成功率を上げられないだろう、と思っていたので、ベンチャーに入社をして上場を経験するのが一番いいのかなって思っていたんです。今思えば本当に生意気なんですけど、インターンとして働いて間もない頃から社長に全く中身の無い改善提案をして、ボコボコにされたりしていました

でも、ある日、「下積みって本当に必要なんだろうか」って思ったんです。というのも、社長や上司に提案してフィードバックをもらう、という関係を続けている限りその人を超えることはできず、結局、他人の測る物差しでどれだけ自分が評価されるかを考えているだけだって気づいたんです。「もっと自分の物差しで自分を評価したい」と思っていました。

そんな日々に窮屈さを感じていたとき、岡本太郎さんの「自分の中に毒を持て」っていう本を読んだんです。これが人生の転機になりました。

「人生における成功は、いかに自分の信念を貫くかどうかで決まる。」という一節を読んで、ハッとしました。「会社にいても誰かが引いたレールの上で歩いているだけだ。やりたいことをやる以外の選択肢はない」って思ったんです。そして、次の日には人事に長文で謝罪メールを送って、退社しました。

他人に決められたルーティンワークの中で成果を出すのが苦手なんですよ。普通の人なら決められたルーティンワークを淡々とこなせるのに、僕は自己流でやっちゃうから、ミスして迷惑をかけてしまう。僕はルールを作る側の方が向いているんです。仕組みを変えたくて、毎回自己流でやっちゃう。

起業前に自分の後ろ髪を引いていたのは、食っていけないんじゃないか、っていう恐怖でした。その頃、投資家にサービス案をもっていったら、プログラミングをできる自分を評価してくれて「その案なら1000万円くらいなら出すよ」と言ってくれたんです。

当時は50万も稼いだことがなかったので、「そんな大金!?」みたいな。実際、大金なんですけどね(笑)自分をちゃんと評価してくれる人がいる、という事実に背中を押され、腹を決めて起業に踏み切ることができました。

最初に始めたWebサービスがバズって「facebook超えた」と思った。

mako2 ――最初から今のアイディアで起業されたんですか?

いえ、当時は別のサービスをやっていました。当時は、facebookはまだ日本に上陸したばかりでしたが、世界に数億人のユーザー数を持っていた。facebookが成功した理由は、人間関係をネットに置き換えたから。だから、趣味嗜好も全部ネットに置き換える時代が来るだろう、と。今思えばそんな簡単な話ではないんですけどね。

だから、好きなモノ、映画、音楽をネットに投稿できるサービスを作ろうと思ったんです。そこでできたのが、「log」というサービスです。

2012年にリリースされた「log」は当時大きな話題になった。
2012年にリリースされた「log」は当時大きな話題になった。

そしたら、ツイッターでバズって、2日で4万投稿いったんですよ。三日三晩寝ずに投稿してくれた人がたくさんいたんです。「これはもうFacebook超えたな」とか馬鹿なことを本気で言って盛り上がっていたのを覚えています。

ただ、そこからはユーザー数が全然伸びなかったので、そこが早くも創業時のピークになってしまいました。

資金が尽き、自転車操業状態に

記録だけだとツールに過ぎないので、毎日見に来てもらえるものにしなければいけない。例えば、知らない4人がいても、共通の好きな物があれば会話になるはずなんです。だから、mixiコミュニティみたいな、記録だけじゃなく共通の好きな物を語れる場所を作ろう、と。

興味の可視化からコミュニケーションにつなげることができれば「もうこれはFacebook超えた」と思って、満を持して「好きなことについて語れる」トピック機能をリリースしたものの、見事になんにも起こらない。

メンバー全員が絶対に「イケる」って思ってた。成功を信じてリソースを投下していたのに、うんともすんとも言わず、そこでお金も精神力も尽きました。

とはいえ、会社を存続させなければ潰れてしまうので、やむなく受託開発をはじめました。

――受託やり始めると、1割自社サービス、9割受託みたいな形になるケースも多いですよね?

社員は受託をやるためにこの会社に入ったわけじゃないので、なるべく僕がやるようにしていました。暗黒のレッドブル時代と呼んでます(笑)。カフェインの錠剤をレッドブルで流し込んで、毎日2時間睡眠で受託したコードを一人でひたすら書き続ける。

結果、完全に受託が足かせになってしまっていて、稼いで、なくなる、っていう自転車操業状態。結局、2013年は1年間なにもできなかったんです。

新サービス「Class」を作るも、3ヶ月で終了。

――その後はどうされたんですか?

共同創業者と、六本木のスタバで「次失敗したら無いよね。」っていう話をしました。だけど、何をすればいい?何がしたい?ってなったとき、「俺ら友達いなくね?友達欲しいよね」ってなって(笑)

友達ってどうやってできたっけ?って考えた時、小学校を思い出したんです。

ある日突然担任が現れて、知らないと仲良くしろって言われて、気づいたら友達になってるみたいな。要するに、ハコを提供できさえすれば、勝手に仲良くなる。そこで生まれたのが「Class」というサービスです。

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2013年にリリースされた「Class」は「log」に続いて大きな話題を呼んだ。

ランダムに選ばれた同い年の男女10人で1ヶ月限定で、コミュニケーションできる学校のような場所をつくってもらう。そしたら「あの青春時代をもう一度」ってキャッチフレーズがバズって、IT界隈ではほとんどの人が覚えているくらい話題になりました。正式リリース時には、とても上手くいってたんです。

でも、最終的にはユーザー体験をうまくつくれなかったのと、バグが頻発したせいで何度も炎上して、それと並行して受託もやって、ってやっているうちに3ヶ月で終了しました。初対面同士だと思った以上に会話が生まれませんでした。社会人だと話題が仕事と家庭しかないから、話すとしたら過去の話しかない。

数千人のユーザーを強制的に卒業状態にするという冗談のようなバグも発生して、ユーザーから大量にクレームが来ることもありました。本当は良くないんですけど、初めてすぐにこのままではダメだと思ったのでサービスが終わったとき、正直「ホッ」としました。

「俺も俺も」創業メンバーが全員辞める

――次はないっていう気持ちでリリースしたサービスが失敗して、絶望しませんでしたか?

焦りはありましたけど失敗慣れしすぎていて、次いこ次!みたいな感じでした。Classが終わった頃に平行して開発していた「log」のアプリ版がやっとできました。今リリースしたらみんな使うんじゃないかなぁってくらい良いクオリティだった。ただこちらもうまくいきませんでした。

img_9877 でも、PC版のlogをリリースした2年前とは状況が変わってて、アプリを通じてSNSでシェアをすることが難しくなっていました。だから、口コミで伸ばせないときは広告でユーザーを増やすしかない。抜けたユーザーの分だけ、広告で獲得する。サービスに広告という人工呼吸器をつけている状態です。しかし、logではお金一切稼いでないので、受託もやめるわけにはいかなかった。

あと1年くらい続けていたら上手くいってたかもしれませんが、少なくとも僕たちの精神力と資金力の限界が先にきたんです。夏に次の改善のための打開会議を行ったとき、僕以外の社員がみんな辞めるって言い始めたんです。会議中、結構良い案が出たので、実行していこう!と仲間に話したら、ひとりが「俺、この会社辞めようと思っているんだよね」って言い出して。「え?」と思った瞬間に、横にいたやつが「俺も辞める」って言い出して、結局、僕一人とインターン生数人の会社になりました。

そこでもう、logは続けられなくなったんです。あまりにも危機的な状況に「もうこれ以上、ホームラン狙いだけで打席には立ち続けられない」と思った。

「当たれ」と願いながらブンブンバットを振リ続けた三年間でした。振り返ってみると、非ゲーム系で、コミュニケーションのサービスで稼げているサービスって、LINE以外ほとんど無いんです。ウェブだけでお金を稼ぐって本当に難しい。

3年間1円もサービスで稼げていないって要するに、社会に対して何もしていないのと一緒だと思っていて、単純に自分が恥ずかしくなりました。

そしてマーケット選定も大事だってことに気づいたんです。 MERYはlogと同じくらいにリリースして、2年で50億で買収された。最初は見る目がなさすぎて「女性特化のNAVERかな」とか思ってたんですけど、何千万人に使われるサービスになりました。それが全てではないけれど、マーケットが違うだけでこんなにも変わるのか、と思いました。

日本の教育はすべて「自学自習」にするべき

――そこからどういう経緯で今のTECH::CAMPになったのでしょうか?

起業してからはエンジニア未経験の学生に僕がプログラミングを教えていたんですよ。そこでふと思い出したのが、もともと教えるのが好きだったっていうこと。じげんでも人事として働いていたし、思えば高校時代に先生になりたいと思っていたこともありました。今の社員に言わせれば「真子さん教えるの下手だからやめた方がいい」って言われるんですけど(笑)

うちで現役で活躍しているエンジニアはは、僕が1年半かかったことを2ヶ月くらい出来るようになっている。この差はなんなんだろう、って思った時に、それは「質問し放題の環境」だったんです。僕が「正しい型」を教えて「量」をこなしているから、上手くなれるんだ、と。「これだ!」と思いました。

思えば、僕は高校、大学の授業とかも全く聞いてなかったんですよ。授業中は隠れてゲームしたり寝てたりしてやって、最後の10分で自分で覚えてました。自分としては一方で話を聞かされるだけの教育が基本となっていることに違和感を感じます。

最も効率のよい教育は自分で学び、わからないことがあったら即質問するっていうインタラクティブな教育スタイルです。先生の話を一方的に話を聞くだけなら動画を見るのと変わらないし、手を動かさないのできるようにならない。

プログラミングに限らず、日本の教育はフィードバックをもとに添削を重ねた良質な教材で自学自習して、疑問がわいたら即質問対応するカタチにすべきです。

事業を始める前にもっと本質的なプログラミング教育ができるんじゃないか、と思って投資家に話したんですけど、反対の声は多かったです。「教室の固定費どうするの?」とか「リアルビジネスだとスケールしない」とか言われる。でも、「僕には僕しか見えていない世界がある」と本気で信じていて。それが「人々が今の10倍の学習効率でプログラミングを学んでいる」世界でした。

人生を変える一ヶ月を。

そこから試行錯誤して、やっとカリキュラムができました。今思えばボロボロなんですけど、このテキストに沿って質問し放題の環境さえあれば、従来よりはるかに高い学習効率で学べると思いました。

とはいえ、最初1人でたくさんの人を同時に教える自信がなかったので、選抜制の1ヶ月集中コースにしてfacebookで募集したら、いきなり50人応募が来たんです。驚きました。

50人ってことは、500万円の売上見込みが立っているってことなんです。1人1ヶ月で受託開発をやって500万円を稼ぐのは不可能です。しかも、受講生も優秀でほとんどがスタートアップ経営者や東大生でした。

「これはいけるのかもしれない」と手応えがありました。

最初の1ヶ月、終わったあとに、受講者の大学生が僕のところにきて、「1ヶ月すごく良かったです。ここで終わるのもったいないので、働かせてください」と言ってくれたんです。技術を教える代わりに次の受講生の指導を手伝ってもらうようになりました。

これが今のメンター体制をつくることになったきっかけです。最高の学習効率を提供するために素人が指導するわけにはいきません。メンターの試験は合格率10%とかなり厳しいですし、合格後も毎週技術課題がでます。技術レベルが高いことと未経験者に分かりやすく教えられることは、全く別物です。

「受講生を褒めて伸ばす」などをはじめとしたメンターの行動規範も徹底しました。現在は理念に共感した良質なメンター100名近くのコミュニティができています。

今は受講生は毎月350〜400名を超え、1年半で卒業生は累計3000人をこえました。実践的なプログラミング教育を評価いただいて大手上場企業のプログラミング研修にも導入されています。全くの未経験者を短期間にエンジニアに変えられるのはTECH::CAMPの強みです。 img_9881

2年間かかっていたエンジニア教育を3ヶ月でやる

単にプログラミングスクールを運営し続けるだけではなく、会社が向こう3年で取り組みたいのは「企業のエンジニアリソース問題の解決」なんです。

社内でエンジニア不足を解決するためには、3つ方法があると思っています。

・社内の新人を育ててエンジニアにする
・社外からエンジニアを雇う
・エンジニアの人を派遣等の形で一時的にアサインする
この3つを全部ウチでできるようにしたい。

その走りがTECH::WORKであり、3ヶ月每日10時間以上学習して未経験から即戦力のエンジニアを育成するエキスパートコースもスタートしています。 img_9879 1ヶ月のコースを卒業した人を企業のエンジニア人事に連れていくと舐められるんですよ。「たった1カ月で、何ができるんだ」と。

確かに、1ヶ月でできるようになることに限界はあります。でも、エキスパートコースのような良質な学習環境で3ヶ月本気でやれば、実際の開発現場で数年のキャリアをもつエンジニアのなかでも活躍できる人になります。。

最近、「素人だらけの寿司屋がミシュランに選ばれた」というニュ−スが話題になりました。この店の寿司職人は東京すしアカデミーという学習効率に特化したスクールの卒業生です。普通の寿司屋さんだと10年立たないと一人前にならないといわれるスキルを数ヶ月で身に付けることができています。

エンジニアも同様で本当に効率の良い方法でプログラミングを学べた人ってほとんどいないと思うんです。非効率な学習をしてきた自分を正当化して人に押し付けているだけ。

そこに勘違いがあると思っていて、企業のエンジニアが2年間くらいかけてやってきたことを、僕は3ヶ月でできると思っています。100人に聞くと99人はできないと応えるだろうと思っているかもしれないけれど、僕にはできる世界が見えています。

エンジニアの仕事のプラットフォームにしたい

まずは、プログラミング初心者の方々がプログラミングで「モノづくり」ができるようになることを応援したいです。

「今までプログラミングやったことなかったんだけど、才能はある」という人たちは実はたくさんいて、その人たちを技術を授けたいです。

教育の次は、エンジニアの仕事のプラットフォームを目指します。エンジニアは企業に属す人も、フリーランスで自由に働きたいという人もいる。

TECH::CAMPは人材紹介企業様と提携しているのに加えて、卒業生が案件を受けるために開始したTECH::WORKというサービスも提供しています。

こちらでは身につけたプログラミングスキルを活かして個人で案件を受けることもできます。エンジニアが育ち、仕事もできるプラットフォーム。TECH::CAMPをそういう場所にしたい。

TECH::CAMPで培ったプログラミング教育のノウハウを、今後は企業研修に。

いま、企業はこれまでにないエンジニア人材難にさらされています。どんなに素晴らしい戦略や企画を立てても、それをカタチにするエンジニアが採用できないがゆえに、プロジェクトがストップしてしまうケースも多く見てきました。

これを解決する手法の一つが、「プログラミング教育」です。

プログラミングスキルはないが、プログラミングに興味がある、という方は少なくありません。そうした方を未経験エンジニアとして採用し、プログラミング教育によってエンジニアに育ててゆくのです。

ただ、企業側には実際プログラミングの教育スキルも教える時間もなかったりするのが実情です。

そういった企業から「TECH::CAMPを、うちの新人向けに特別にやってくれないか?」と依頼されることが増えてきたので、最近では企業向けにTECH::CAMPの研修を提供することも多いです。

IT人材不足の解消のために、こうしたプログラミング教育には、国から助成金が出るため、実質無料で社員にプログラミング教育を提供することができ、エンジニアのリソース不足問題を解決できるのです。

TECH::CAMP研修では、助成金制度を活用して実質無料で研修を実施できる。
TECH::CAMP研修では、助成金制度を活用して実質無料で研修を実施できる。

新人エンジニアだけでなく、プロデューサーや企画担当者向けにTECH::CAMPを提供することも増えました。自分のアイデアを簡単でも良いのでカタチにできる力があれば、より良いサービスを生み出せるはずだからです。

「企業のエンジニアリソース不足の解決」に向けて、さらにアクセル全開で事業を展開していきたいと思います。

取材後記

以前から友人や知人が多数通っていたり、親しい後輩がdivに転職をしていたり、非常に親近感を覚えつつも、真子さんのお話をじっくり伺ったことがなかったので、「暗黒のレッドブル時代」の話も含め、今に至るまでのお話をお聞きでき、非常に刺激を頂きました。

「なるほど。これがHARD THINGSか。」と。

同時に、偶然の産物のように見えるTECH::CAMPも、真子さん自身の七転八倒の中から生まれた必然だったのかと思うと「事実は小説よりも奇なり」と感じずにはいられません。

僕自身、IT・Web業界の採用に携わってきたので非常に痛感しますが、IT人材の不足は深刻です。

だからこそ、限られたITリソースを奪い合うのではなく、IT人材を育てていくことが必要で、それを支えているTECH::CAMPの存在は非常に大きいと思っています。

「二兎を追って二兎を得る」働き方を実現する上で、最も有効なスキルがITスキル、特にプログラミングスキルです。ご興味をお持ちになった個人の方はこちらから、説明会に参加してみて下さい。

また、研修を検討されている法人の方はこちらから、ぜひ問い合わせてみて下さいね。

TECH::CAMPをはじめ株式会社divの、真子さんの未来に、期待せずにはいられません。

インタビュー:西村創一郎@souta6954

文章:奥岡権人@ketokunsan

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